最新記事
ドラマ

モルモン教徒vs米政府...ダークで血みどろな西部劇『アメリカ、夜明けの刻』が描く「負の開拓史」

A Dark Time in Morman History

2025年2月7日(金)15時54分
レベッカ・オニオン(スレート誌記者)

否めない「二番煎じ」感

よりよい作品のために、歴史を圧縮して再結合する手法に問題はない。白人開拓者と先住民の戦いという構図に平板化されがちな西部開拓時代の物語に、宗教的対立を組み込んだのは評価すべきことだ。

だが『夜明けの刻』はひたすら過酷で、ユーモアのかけらも(ジム・ブリジャーのせりふ以外には)見当たらない。


ここでは、暴力は浮遊する疫病で、各集団を次々に襲う無作為の苦難であり、人間が自らの意思で選択して起こす出来事ではなく、制御不能で不可避な存在になっている。

ドラマ作品にはそれなりの要求があり、『イエローストーン(Yellowstone)』などのテイラー・シェリダン(Taylor Sheridan)監督が続々作品を送り込んでくるネオ西部劇ジャンルで、独自性を打ち出そうとする姿勢を責めるべきではない。

【関連記事】主演が降板も「完璧な結末」を約束できる...人気西部ドラマ『イエローストーン』は波乱の最終章へ

問題は「西部は暴力の世界だった」というコンセプト自体が、もはや新しくないことだ。

©2025 The Slate Group

20250318issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月18日号(3月11日発売)は「日本人が知らない 世界の考古学ニュース33」特集。3Dマッピング、レーダー探査……新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

独緑の党、メルツ氏の債務拡大計画への支持拒否も 与

ビジネス

ECB、利下げ継続・停止で予断は禁物=スロバキア中

ワールド

ドイツの各空港で終日スト、数千便が欠航・50万人以

ビジネス

米フォード、資金難のドイツ部門に最大47.6億ドル
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手」を知ってネット爆笑
  • 3
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望的な瞬間、乗客が撮影していた映像が話題
  • 4
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 9
    鳥類の肺に高濃度のマイクロプラスチック検出...ヒト…
  • 10
    中国経済に大きな打撃...1-2月の輸出が大幅に減速 …
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 6
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 7
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 8
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中