最新記事
ドラマ

本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこない」重要な存在

Less Disturbing Squid Game

2025年1月18日(土)12時15分
スコット・ノバー(ジャーナリスト)
ネットフリックス『イカゲーム』シーズン2

ネットフリックスで配信開始された『イカゲーム』シーズン2では、シーズン1で生き残ったソン・ギフン(中央)は残酷なゲームに再び参加し、死闘に身を投じる NO JU-HAN/NETFLIXーSLATE

<大ヒットしたシーズン1と、12月に配信開始されたシーズン2の最大の違い。その存在は、リアリティー番組を視聴する人々に突き付けられた鏡だ>

ドラマ『イカゲーム』の設定はシンプルで、心をかき乱す。舞台は現代の韓国。経済難などの事情で人生に行き詰まった人々が、最後まで勝ち残れば巨額の賞金を獲得できるゲームに招待される。

ゲームの内容は「だるまさんが転んだ」などの子供の遊びだが、脱落者を待つのは頭や心臓を射抜く銃弾だ。綱引きや飛び石ゲームで負ければ墜落して死亡し、仲間のプレーヤーと生き残りをかけてステーキナイフで戦わされる。


ネットフリックスが2021年に配信し、世界中で大ヒットしたシーズン1の途中では、さらにぞっとする真実が明らかになった。

ゲームはいわば「番組内の番組」だった。参加者456人は優勝賞金456億ウォン(約49億円)のために命懸けで戦うだけでなく、サディスティックなVIPたちの娯楽に使われていたのだ。孤島に集まったVIPは酒宴やセックスにふけり、ゲーム参加者を対象にまるで競馬のように賭けをしていた。

『イカゲーム』シーズン2 予告編 - Netflix

昨年12月26日に配信されたシーズン2では、現実と同じく、あれから3年ほどが過ぎている。だが今回、大金持ちのVIPは出てこない。彼らの不在は、本当に残念だ。

シーズン2では借金や依存症の残酷さが再び描かれ、仮想通貨詐欺といった新手の経済犯罪を取り上げている。

一方で、ゲームの最重要人物であるはずの人々、自分たちが観戦して楽しむために恐怖のゲームを要求する(おそらく資金も提供している)VIPについては触れていない。

お知らせ
【3/26、3/29開催】編集部に感想・提案をお寄せください(オンライン読者交流会)
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英CPI、2月は前年比+2.8%と予想以上に鈍化 

ワールド

韓国最大野党の李代表に逆転無罪判決、大統領選出馬に

ビジネス

台湾の対米貿易黒字は「構造的問題」、米国も理解=中

ビジネス

スーパー販売額2月は前年比0.3%減=日本チェーン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 5
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 6
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 7
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 10
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中