論争を経て再評価へ? ハリー・ポッターの作者 J・K・ローリングと『文化戦争』の行方
Has J.K. Rowling Won the Culture War?
映画キャストからも批判
映画「ハリー・ポッター」シリーズの主要キャストであるダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリント、それに「ファンタスティック・ビースト」シリーズの主演俳優エディ・レッドメインもローリングの発言を公の場で非難した。
ラドクリフは20年、性的少数者の若者の自殺防止活動を行っている団体に寄せた文章で「トランス女性は女性だ。それとは反対の(彼女らは女性でないとする)いかなる言葉も、トランスジェンダーの人々のアイデンティティーと尊厳を大きく傷つけるものだ」と述べている。
22年、ローリングは主要キャストが参加する映画版ハリー・ポッター20周年記念番組への出演オファーを断った。
そして今、WBDは業績不振に陥っており、ドラマ版ハリー・ポッターに起死回生の魔法を期待している。
WBDは24年の4~6月期に100億ドル近い赤字を出したほか、負債額も400億ドル近くに上る。そこで同社では既存の人気シリーズを活用して収益性を最大限に上げ、ファンを引き付けようという戦略を立てている。26年に放送開始予定のドラマ版ハリー・ポッターは、その目玉なのだ。
つまりWBDがローリング擁護に転じたのは、原作者の制作参加がドラマにもたらすプラスの効果のほうが、世間の反発のリスクを上回ったということにほかならない。