「私の何が、人を引き付けるのか?」 アル・パチーノが自伝『サニー・ボーイ』でさらけ出した本心
One of Cinema’s Greatest
2本目の『クルージング』では繊細なパチーノに注目してほしいと、セリーヌは言った。一方、本人役で出演した3本目の『ジャックとジル』はとんでもない駄作。面食らう私にセリーヌは解説した。
「どんなひどい映画にも、彼は真剣勝負で挑む。正統派のイケメンなのに、仕事の選び方が変わってる。そんな俳優は、最近の若手ではロバート・パティンソンくらいね」
役に最大限のめり込む
パチーノの自伝『サニー・ボーイ(Sonny Boy)』(ペンギン・プレス社刊)は、ニューヨークのサウス・ブロンクスで過ごした幼少期から幕を開ける。
アル・パチーノがアル・パチーノになったのは奇跡に近い。貧しい家庭に生まれ、少年時代は3人の不良仲間とトラブルばかり起こしていた。3人はみな若くして死んだ。
だがパチーノは子供の頃でさえ、自分が凡人で終わらないことを知っていた。「夜の校庭を煌々と照らせるほどのエネルギーを持つ子供」だったと、彼は振り返る。
中学の教師に才能を見いだされ、やがて俳優養成所アクターズ・スタジオで学んだ。1968年にオフブロードウェイの舞台で注目され、そこから運命が大きく動いた。