「謹んで故人の冥福を祈ります」 SMなど音楽事務所への葬儀花輪テロは韓国K-POPファンの変質の象徴?
謹弔花輪デモは違法?
日本では考えられない韓国K-POPファンの謹弔花輪デモだが、実はK-POPファンだけがやっているわけではない。保守と革新の対立が激しい韓国では政治の分野でも謹弔花輪が使われることがあり、昨年、最大野党の共に民主党のイ・ジェミョン代表に対する拘束令状を棄却したソウル中央地裁の判事に対して、保守系団体が最高裁の前に数百個の謹弔花輪を立てたのが代表的な事例だという。
こういった謹弔花輪デモが広がるにつれて、警察と区役所なども対応策を用意した。現行の韓国の法律では、屋外集会またはデモの主催者は、開始48時間前に管轄する警察署に事前申告書を提出しなければならないが、この時、垂れ幕など集会で使う用品を書かなければならない。これに花輪も含めたのだ。警察庁関係者は「謹弔花輪は集会用品と見る。申告時に使用個数を事前に明示しなければならない」と説明した。 個数などが申告内容と異なる場合、管轄区庁による戒告処分がありうるという。
ただ、今回問題になったRIIZEファンによるSMエンターテインメント本社前での謹弔花輪デモについては、このような手続きが十分に取られていなかったことが知られている。SNSでの謹弔花輪デモを呼びかける投稿のなかには「(申告をしなくても)いったん送れ」と誘導する書き込みもあった。このため、警察や区役所が事前に把握したものより大量の花輪がSMエンターテインメント本社前に並ぶ事態が発生したのだ。
一方で、HYBEに謹弔花輪を送ったNewJeansファンたちは事前申告手続きを守り、現場で花輪を管理する人材まで雇用して常駐させたという。HYBEの本社がある龍山区庁関係者は「花輪を管理する担当者が警察、区庁と連絡をとりながら、申告された時間外には片付けるなどして花輪デモが比較的秩序よく進行された」と説明した。
問題は手続きを守らなくても罰則などがないという点だ。警察関係者は「花輪はガスボンベなどの危険物品ではなく、事前申告がなかったからといって片付けたりするのは難しい」と話した。また業者を通じて配達されるため、送り主を特定するのが難しく、取締りがしづらい。
城東区役所の関係者は「花輪を配送業者だけが行き来し、実際の注文者とは接触できない状況が続いた」と明かした。不法に置かれた物であっても私的財産と見る余地があり、むやみに片付けることもできない。花輪デモの2日後の13日、スンハン脱退の報道が伝えられてから、配達業者等が一部の花輪を回収していく前まで城東区役所には「通行に邪魔になる」「都心の真ん中に葬儀の花輪がぎっしり詰まっていてぞっとする」等、関連苦情だけで30件余りが受け付けられたという。