【インタビュー】LL・クール・J、11年ぶりの新作に込めた「ヒップホップへの愛」
Still Doin’ It Well
LLがヒップホップの創成に深く関わったことは、いくら強調しても足りない。
80年代、最初にメインストリームに躍り出たアーティストといえば、シュガーヒル・ギャングやグランドマスター・フラッシュ・アンド・ザ・フューリアス・ファイブが思い浮かぶかもしれない。だが、ソロでスターになったラッパーはLLが初めてだ。
彼は84年、後にヒップホップの代名詞となるデフ・ジャム・レコーディングスと16歳で契約。「アイ・ニード・ア・ビート」など虚勢やマッチョさを前面に押し出した曲で、ヒップホップの新鮮な魅力をアピールした。
ファッションにも貢献
LLがデビュー作『レイディオ』を発表した85年当時、ヒップホップはほぼニューヨーク限定のストリート文化だった。LLはこのアルバムでカリスマを存分に発揮し、ヒップホップがれっきとした音楽であることを証明した。
その後のアルバムでは粋がったラップの間に「ドゥーイン・イット」など女性ファンがターゲットのエロチックなナンバーを挟み、唇をなめるしぐさと肉体美を武器にヒップホップ界初のセックスシンボルとなった。
大ぶりなアクセサリーをはやらせたのもLLだという。3枚目『パンサー』のジャケットでLLはゴールドのチェーンを着け、極太のゴールドチェーンを巻いた黒ヒョウとポーズを取った。