最新記事
ドキュメンタリー

ビクトリア&デビッド・ベッカム夫婦に学ぶ、結婚という「チームゲーム」

A Moving Portrait of a Marriage

2023年11月9日(木)14時30分
イモジェン・ウェストナイツ(ロンドン在住)
人気絶頂期に発覚したスパイス・ガールズのビクトリアとの交際と結婚は世界中のメディアをにぎわせた COURTESY NETFLIX

人気絶頂期に発覚したスパイス・ガールズのビクトリアとの交際と結婚は世界中のメディアをにぎわせた COURTESY NETFLIX

<ネットフリックスで配信中の4回シリーズ『ベッカム』は、世界的な有名人カップルの24年間の軌跡を描き出す>

1990年代後半から2000年代初め、デビッド・ベッカムとビクトリア・ベッカムは世界最高クラスの知名度を持つカップルだった。

わがイングランドが生んだ希代のフットボーラー(アメリカで言うサッカー選手)デビッド・ベッカムと、この国で最も愛されたポップ・グループ、スパイス・ガールズのビクトリア・ベッカム(愛称ポッシュ・スパイス)。英国民にとってこれほど魅力的な組み合わせのカップルは誰も考えつかなかったはずだ。

【動画】ネットフリックス『ベッカム』公式トレイラー

そしてフットボール(サッカー)の世界的人気と、2人が最終的にアメリカに移住したことで、彼らをよく知るのはイギリス人だけではなくなった。2人のニュースは長年、公私を問わず世界中で新聞の1面を飾ってきた。

ネットフリックスで独占配信中のドキュメンタリー『ベッカム』(フィッシャー・スティーブンス監督、4回シリーズ)は、デビッド・ベッカムのキャリアを描くとともに、セレブではなく生身の人間としてのベッカム夫妻にとって、メディアの監視と詮索がどんなものだったかを問う。

このドキュメンタリーにはたくさんの魅力が詰まっている。ベッカム夫妻が結婚式で着た、とてつもなく派手なおそろいの紫の衣装。世界中のマンチェスター・ユナイテッド・ファンがデビッドと同じ髪形にしたいと親にねだった人気絶頂期。デビッドと、そりが合わなかった監督たちとの控室でのメロドラマ風の対立劇。スティーブンスは人気ドラマ『メディア王~華麗なる一族~』でヒューゴ役を演じていた人物であるという、「待って、あの人なの!?」という事実も。

でも、心にずっと残るのはドキュメンタリーが描く夫婦生活の肖像だと思う。デビッドとビクトリアの物語は、現代のおとぎ話として始まった。

美しいポップスターとハンサムなフットボーラーが出会い、メディアの目を盗んで秘密の愛を育て始める。もちろん、新聞はすぐに感づき、2人の仲は世間からの好奇の視線と同時に、メディアの猛烈な取材攻勢にさらされる。

ビクトリアは、デビッドがプレーしたスタジアムでよく聞いた卑猥なフレーズをユーモアたっぷりに振り返る。「ポッシュ・スパイスは××に入れてもOK」。そのとき隣に座っていた女性が彼女のほうを振り向き、なぜかミントをくれたそうだ。

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場・寄り付き=ダウ約300ドル安・ナスダ

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極

ビジネス

FRBとECB利下げは今年3回、GDP下振れ ゴー

ワールド

ルペン氏に有罪判決、被選挙権停止で次期大統領選出馬
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中