最新記事
ドキュメンタリー

ビクトリア&デビッド・ベッカム夫婦に学ぶ、結婚という「チームゲーム」

A Moving Portrait of a Marriage

2023年11月9日(木)14時30分
イモジェン・ウェストナイツ(ロンドン在住)

231107P52_BCM_02.jpg

幼い頃から才能を発揮したベッカム COURTESY NETFLIX

結婚は「チームゲーム」

初期のロマンスはとても魅力的だ。2人は一晩中電話で話したり、デビッドは20分間だけビクトリアに会うため、ロンドンからマンチェスターまで往復4時間車を走らせたと、友人や家族は語る。それぞれのキャリアの厳しさ、ツアーやトレーニングでなかなか会えない2人だが、何とか解決策を見つけて......。

でも、もっと心を動かされたのは長期にわたる夫婦関係の平凡な現実だ。ビクトリアはデビッドのプレーを見るのは好きだが、今でもフットボールは好きではないと言う。

2人は軽口でお互いをからかう。ビクトリアはデビッドについて、潔癖症丸出しの彼の掃除を私が評価しないと怒っていると言い、デビッドはビクトリアについて、父親がロールスロイスを所有していたのに若い頃の自分は労働者階級だったと言い張ると話す。

2人はほとんどの場合、別々にインタビューを受けているので、互いに矛盾することもあるが、聞き手の監督はお構いなし。デビッドが急にロサンゼルスからヨーロッパに戻りたくなった自分を妻は理解してくれたと話した直後、ビクトリアはそれを否定する。

エピソード3では、デビッドがレアル・マドリードでプレーしていた04年に夫妻を襲った悪名高い浮気疑惑を取り上げる。スティーブンスは夫妻のどちらにも、デビッドがビクトリアに隠れて元個人秘書と関係を持ったのは本当かと直接尋ねていないが、「行間」を読み取るのは簡単だ。

それより興味深いのは、幼い子供を抱えていたタイミングで疑惑がゴシップ紙で一斉に取り上げられたとき、どうやって関係を壊さずにいられたかを2人が振り返る場面。もっと言えば、振り返るのが今もつらそうな彼らの姿だ(2人はこのドキュメンタリーのインタビューはセラピーのようなものだったと語る)。

「結婚生活であんなプレッシャーにさらされたのは初めてだった」と、デビッドは打ち明ける。「世界中が私たちに敵対しているように感じた」と、ビクトリアは言う。

カルチャー
手塚治虫「火の鳥」展 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国副首相が米財務長官と会談、対中関税に懸念 対話

ビジネス

アングル:債券市場に安心感、QT減速観測と財務長官

ビジネス

米中古住宅販売、1月は4.9%減の408万戸 4カ

ワールド

米・ウクライナ、鉱物協定巡り協議継続か 米高官は署
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中