最新記事
映画

アニメ版スパイダーマンの超絶破壊力...カギは多様性、あらゆるタイプのスパイダーマンが登場!

IP Cinema Reimagined

2023年6月21日(水)13時00分
サム・アダムズ(スレート誌映画担当)
スパイダーマン

『スパイダーバース』シリーズには、これまでのイメージを裏切るスパイダーマンが続々と登場する SONY PICTURESーSLATE

<人気キャラを寄せ集めた映画が氾濫するなかで、多様性に満ちたスパイダーバースが世界を変える>

突然変異したクモに噛まれた少年が、超人的な能力を得て、困っている人を助け、悪者をやっつける――。何十年も前にマーベル・コミックに登場して以来、スパイダーマンの物語は、数え切れないほどたくさんの映画やテレビドラマで描かれてきた。

【動画】どんなスパイダーマンが登場? 『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』予告編

だからかもしれない。最新のアニメ映画版3部作の第1弾『スパイダーマン:スパイダーバース』が2018年に公開されたとき、元祖スパイダーマンのピーター・パーカーは、「オーケー、いっちょまたやるか」と、マンネリ番組の司会者のように少し苦笑いをしてマスクをかぶった。

だが、このシリーズはマンネリ作品の焼き直しでは決してない。それは、主人公のマイルスが白人のパーカーではなく、中南米とアフリカ系のハーフの高校生という設定であることが象徴している。

それだけではない。このアニメ映画では、マーベルのスーパーヒーローが大量に出てこない代わりに、未来の世界から来た科学者や日系の少女、子豚、恐竜、自動車など、あらゆるタイプ(バース)のスパイダーマン(スパイダーバース)が無数に登場する。

シリーズ第2作『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』では、多種多様なスパイダーバースが、太い絆によって結ばれていることが描かれる。みな超人的な能力を持ちながら、それぞれが住む世界で悩みを抱え、孤独と闘い、何かしらの悲劇的な経験をしているのだ。

アニメ映画であることも手伝って、このシリーズでは製作者たちのイマジネーションが無限に発揮されているかに思えるが、知的財産権という厄介な現実と戦っている。

知財という分厚い壁

マーベル・コミックのスパイダーマンは、アベンジャーズやX-メンと同じ世界にいるスーパーヒーローの1人だが、映像化に当たってはソニー・ピクチャーズが権利を握っており、長年、知財権の分厚い壁に阻まれて孤独な世界に存在してきた。

だが、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)を所有するディズニーが、X-メンとファンタスティック・フォーの権利を持つ20世紀フォックスを買収し、ソニーがトム・ホランド演じるスパイダーマンをMCUに「貸し出す」契約を結んだことで、近年は『アベンジャーズ・インフィニティ・ウォー』などにもスパイダーマンが登場するようになった。

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中