坂本龍一が遺した名言を聞け──韓国音楽のブレイク、金融危機後の資本主義の揺らぎも予見
IN HIS OWN WORDS
2023年5月2日(火)11時30分
──あと自分たちで音を創るゆとりが持てるといいな、と思うんですが。
ただ、ある程度の経済的な余裕がないと、できないでしょう......。
──そのあたりは、社会構造の話に至りますね。
僕はね、今回の金融危機で、株式制度自体の見直しまで突き進む、と思っていたんです。そうなると思って期待していたんだけれど、今は対症療法というか、金をつぎ込んで傷口を塞いで延命させようとしていますが、わりと資本主義の根幹が揺らいでいるよね。次の持続的な経済システムに移行するチャンスではある。みんなそこまで行きたくないみたいで。今までどおりやりたい......面白い時だよね。
──結局、経済はマクロに頼らざるを得ないところがあって......。
個人で解決するには限界がありますよね。
──そこで、「音楽だよ!」と。
開き直り......それはいいと思いますよ。嫌な響きを我慢すればそれは一種の救いなんでしょうね。それを素直に救いだって喜べない僕らも不幸なのかもしれませんが。でも、ピナ・バウシュが言う「泣くな、歌え!」っていうのは、やっぱりすごいねえ。