フィギュアファン歴30年の作家も驚く「羽生結弦が見せた神対応」
「ニューズウィーク日本版『羽生結弦特集』の執筆依頼を受けていたので、記事を意識しながら北京五輪のフリーを画面越しにライブで見ました。リアルタイムでは回りきったように見えた4回転アクセルと、演技を終えた直後に天を仰いだ神々しい表情が印象的でした」(茜氏談)『羽生結弦 アマチュア時代 全記録』302頁より ©時事
羽生結弦選手のプロアスリートとして最初の単独ショー「プロローグ」は、盛況のうちに横浜公演の幕を閉じ、今週末からの(12月2、3、5日)八戸公演が心待ちにされている。
11月5日、私は横浜の映画館に足を運んだ。「プロローグ」のライブビューイングに参加するためだ。
羽生選手の演技は、数々の世界選手権や連覇したソチ五輪、平昌五輪など、主だったものは必ず現地観戦してきたので、横浜公演のチケット落選は心底残念だった。けれど、歴代最高のフィギュアスケート・スターの"プロのアスリート"として初の演技が、どれだけファンに求められているのかをあらためて知って、嬉しい気持ちになった。
映画館では開演前の説明が始まった。公演中は、拍手や応援グッズを用いても良いとアナウンスされる。それを合図にしてブルーの輪がいくつか光った。後に、それが前日の公演で配られたバングルと知った。
1人だけのショーを、1時間半。映像を交えるとはいえ、体力には限界がある。ショーでも1つ1つの演技に渾身の力を込めてファンに伝えようとする羽生選手ならなおさらだ。
「ユヅなら絶対に魅せてくれる」というファンの期待は、時にはプレッシャーにもなるだろう。それでも、自分とファンに真摯に向き合って、等身大で最高の羽生結弦を見せてくれるに違いない。
アマチュア選手の最終シーズンに使った「天と地と」の曲を流しながらの6分間練習から始まるという予想外の演出で、公演は幕を開けた。周囲の観客は呼吸を合わせたように、ジャンプを飛ぶたびに拍手し、スケーティングに嘆息する。
最初の演技「SEIMEI」が始まると、私は陰陽師の神秘的な世界観にふさわしい、紫の壁に囲まれた平昌五輪のリンクを思い出した。あの時も、会場の全ての観客が羽生選手に釘付けになり、フィギュア男子で66年ぶりの五輪連覇の偉業を達成する演技を見守った。
「なぜ、もっとユヅの演技を見に来ないの?」
私のフィギュアスケートファン歴は30年を超える。とりわけ男子シングルが好きだ。きっかけはNHK杯の過去演技の特集で見た五十嵐文男選手で、ノーブルな王子様タイプの日本人選手が世界のトップで戦う姿に夢中になった。
『羽生結弦 アマチュア時代 全記録』
CCCメディアハウス[編]
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