最新記事

韓国

CDが売れない2000年代に入り、韓国の音楽産業だけがやったこと

2022年10月22日(土)15時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

そしてK‒POP界は今も時代の変化に柔軟に対応し、いかに時代を先取るかということを悩み続けていると感じます。いい意味でチャレンジャーたちだと思いますが、この話の最後に、日本でも参考にしやすい最新事例を紹介します。

Wonder Girls、TWICE、ITZY、NiziUなど大人気のK‒POPガールズグループを生み出し続けているJYPエンターテインメントが最近仕掛けている新しいガールズグループの話です。

こちらの新しいグループ名は、NMIXX(エンミックス)。2022年2月にデビューすることを発表し、その半年前の2021年8月にYouTubeチャンネル「JYPn」を開設しました。もちろん日本でもアイドルグループのデビュー前にYouTubeチャンネルなどのデジタルコンテンツでお披露目をすることはありますが、世界に向けて高画質の洗練された動画を、しかも半年も前から始めるのは珍しいことだと思います。

そしてこちらのYouTubeチャンネルでは何カ月もかけて順番に一人ひとりのメンバーを公開する動画をアップし、それぞれのメンバーのダンスや歌唱力などを披露して期待感を高めました。まだ世に出る前から熱狂的なファンを獲得するための新たなアプローチだと思いますが、最初に公開された動画は3カ月ほどで300万回(2021年11月時点)の再生を超えるほど注目を集めました(注10)。

※注10:NMIXXがデビューするまでは「JYPn」という仮の名で公開され、2022年2月のデビューとともにNMIXXという正式なグループ名に変更されました。2022年2月22日にシングル「AD MARE」でデビュー。デビューして3カ月あまりでYouTubeチャンネル登録者数が100万人を超えました。

また、その前の2021年7月にはNMIXXのデビューシングル限定版として「ブラインドパッケージ」を数量限定で発売し、そのパッケージの中にはメンバー全員のフォトブック、フォトカード、ポスターなどが入っているため、まだメンバーの顔が知らされていないままファンを集めるという面白い企画を仕掛けました。限定版のアルバムを購入してくれた人にだけ優先してメンバーの顔や年齢、出身などの情報を明かすという仕掛けも用意されました。

ガールズグループの名家と言われるJYPエンターテインメントならではの自信の表われだと思いますが、先行注文数が6万枚以上を達成し、まだ顔も知らないガールズグループへの高い関心や期待感を証明しました。

このようなやり方は大きく仕組みを変えるほどではないかもしれませんが、デジタル上でどのように話題を作ることができるのかなど、参考になるよい事例ではないでしょうか。

コンテンツ・ボーダーレス
 カン・ハンナ 著
 クロスメディア・パブリッシング

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾軍、警戒態勢を強化 中国が艦船90隻を訓練に投

ビジネス

アングル:トランプ氏の仮想通貨政策、推進派起用でも

ビジネス

台湾輸出、11月は前年比+9.7%で予想上回る A

ワールド

韓国、尹大統領に出国禁止措置
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか
  • 2
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能の島」の内部を映した映像が話題 「衝撃だった」
  • 3
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    「糖尿病の人はアルツハイマー病になりやすい」は嘘…
  • 5
    キャサリン妃が率いた「家族のオーラ」が話題に...主…
  • 6
    白い泡が大量発生...インド「下水汚染された川」に次…
  • 7
    2027年に「蛍光灯禁止」...パナソニックのLED照明は…
  • 8
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 9
    電力危機の救世主は「廃水池」だった...「浮くソーラ…
  • 10
    シャーロット王女の「史上最強の睨み」がSNSで話題に
  • 1
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 2
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか
  • 3
    国防に尽くした先に...「54歳で定年、退職後も正規社員にはなりにくい」中年自衛官に待ち受ける厳しい現実
  • 4
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 5
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 6
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 7
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能…
  • 8
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない…
  • 9
    ついに刑事告発された、斎藤知事のPR会社は「クロ」…
  • 10
    肌を若く保つコツはありますか?...和田秀樹医師に聞…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 9
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 10
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中