世界は「届かないとは思わない」YOSHIKIが語る日本エンタメ界の現在地と、LAで挑戦を続ける訳
YOSHIKI自身は今後も日本ではなく、世界を舞台にチャレンジし続けるという。
「自分の中には、階段を下りるとか、立ち止まるというチョイス(選択肢)がそもそもない。立ち止まる、イコール、自分は死ぬときじゃないか、とさえ思っている。
もちろん人間なので、休みたいと思うこともありますよ。やはりハリウッドにいると、いろんな意味でずたずたにされる瞬間はある。ただそれに対して、駄目だと思うか、もしくはさらに前に進もうと思うか。自分は前に進もうという選択をして、それを今もし続けている」
その挑戦は、自分のためにやっているのか、それとも誰かのために......?
「たぶん、同じくらいだと思う。どこまでが自分の人生で、どこまでがみんなの人生を背負っているのかも分からなくなってしまっているし(笑)。でももし、人のために生きられるなら、それって素晴らしいことじゃないですか。
自分だけのために生きるというチョイスが、自分にはあまりないかもしれない。自分の喜びは何か、というのがよく分からないんですよね。
悲しみは、父親を亡くしたとき、メンバーを亡くしたときにどん底まで味わっているので、分かる。瞬間的な喜びは、コンサートをやったときとか、ファンの皆さんに会えたときにすごくあるのだけれど、自分自身の本当の喜びって何なのだろう、と。
一時期、例えば車とか、フェラーリなどをたくさん持っていた時期もあるけれど、そういう物質的なもので人はそんなに幸福にはならないんじゃないかなと思っている。
それよりも誰かに喜んでもらう、自分の存在によって誰かを救えたとか、救われたとか言われた瞬間は、ああ、じゃあ生きていて良かった、頑張ったかいがあったんだなと。その喜びのほうが、断然大きいですよね。そういうものに、僕は生かされている」
現在、YOSHIKIは日本テレビとタッグを組んで、日本から海外へ向かうボーイズグループを発掘するオーディションを行っている。世界のエンターテインメント界では、韓国勢の躍進が著しい。
「日本は少し、おとなしすぎるようにも思う。素晴らしいアーティストはたくさんいると思うので、やはり日本の方たちにもパワーを持ってほしい。自分が日本の出身だからというわけではなく、日本には才能の塊があると思っている。もっと世界に出て行けるんじゃないかと思う気持ちは強い。
日本は、国内で成功するとある程度成り立ってしまう。海外に挑戦しようと思うマネジメント体質があるかどうかもそうだが、海外に出て行かなくてもいいような、スターとしての生活ができてしまうというのが一つある。
だがアーティストというのは、アーティストだけに影響を与えるものではない。やっぱりKポップは、僕はすごいと思う。あそこまで成功して、韓国という国自体にも勢いを感じさせるイメージを与えている。韓国は映画もすごいし、Kポップの活躍はアジア全体への注目をさらに集めて、世界の人たちが目を向けるきっかけをつくったと思う。
その意味では、日本のアニメなどもアジアや日本のプレゼンスを高める要素になってきた。日本のアニメが好きだから、日本のことも好きになってくれる。そういうソフトパワーがある。
日本にはかつて、ウォークマンを開発した頃のソニーさんとか、トヨタさんとか、世界に出て行くパワーがある時代があった。僕がやっているオーディションプロジェクトがソフトパワーに直球でつながるわけではないにしても、ある種、活性化したいというか、僕が外で学んでいるものを少しでも皆さんに伝えることができれば、背中を押せれば、という感覚ではある。