最新記事

世界に挑戦する日本人20

独占インタビュー:山下智久はなぜ海外を目指すのか

2022年9月7日(水)16時45分
小暮聡子(本誌記者)

magSR202209tomohisayamashita-2.jpg

PHOTOGRAPH BY MAKOTO ISHIDA FOR NEWSWEEK JAPAN, HAIR AND MAKEUP BY ICHIKI KITA, STYLING BY NORIKO SUGIMOTO (WHITNEY)

――具体的には何を?

たくさん見る、聞く、しゃべる、カルチャーを知る。映画やドラマ、トークショーも見る。字幕なしで見るときもあるし、字幕ありで見たり、同じものを何回も見たり。あとは書く。英語でのメールのやりとりは、毎日やっている。そうすることによって自然と友達も増えるし、英語を使う環境が広がっていって、モチベーションを失わずに済む。

――20年に『THE HEAD』に出演し、流暢な英語で演じ切っていた。

数年勉強してからのあの場所だったので何とかしがみついていけたけど、英語の丸暗記ではたぶん難しかった。海外作品のオーディションは昔から受けていて、英語の意味が分からないときも必死に音で覚えたりしていたのだが、いま見るとやっぱり全然駄目だなと思う。ちゃんと言葉として吸収して、普段から使っていないとただの物まねというか、嘘っぽくなってしまう。

――同作の撮影は19年に3カ月間、スペインとアイスランドで行い、マネジャーも同行せず単身で滞在していた。

最初の数日は来てくれましたけど、それからはずっと一人でホテル暮らし。大変ではあったけれど、楽しさもあった。日本でどれだけ守られていたか、会社の人たちが送り迎えをしてくれたり、そういう環境は本当にありがたいなと。それと同時に、向こうではホテルも他のキャストさんと一緒で、みんなヨーロッパ各地から単身で集まっていたので絆はすごく深まった。

――英語には敬語がなく、名前も呼び捨てのせいか、最初から相手との関係が対等であったり、フラットに感じる?

それはあるかもしれない。(スペインでの撮影中も)素直にというか、自分の思うことを直接はっきり伝えていた。これは偏見かもしれないけれど、日本では例えばみんなで集まって飲み会があると、30分くらいで抜けるのは気を使うじゃないですか。向こうの皆さん、全然気を使わない(笑)。ちょっと今日、疲れたから帰るわ~って。個々人の意思が尊重されている。

みんなすごく自由だった。それぞれ自分の人生だから、別にここにいてもいなくてもいい。思いやりはもちろんあるけれど、変な気を使わないでいる人が多かった。個人のオリジナリティーを尊重するところで育った人たちなのかなと思った。

――価値観が変わった?

変わりましたね。日本の、みんなと一緒に足並みそろえて頑張ろうというのもすごく美しくて素敵な文化。一方で、オリジナリティーを尊重する、人と違うことがいいという文化もある。どちらにもそれぞれ良さがあるけれど、僕自身も、人それぞれであることに疑問を抱かなくなった。人に対して、自由でいいよ、という感じになってきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中