発達障害の診断を受けた僕が、「わかってもらう」よりも大切にしたこと
言語によるコミュニケーションで衝突していた過去を反省し、非言語コミュニケーションを重視することにした。妻の肩が凝っていたらマッサージをしたり、ペディキュアを塗ってあげたり、妻の好きなデザートを見つけたら買って帰ったり......。一つひとつは小さなことなのだが、それまでは自分の生きづらさにばかり目を向けていて、考えられていなかったのだ。
次第に妻は、ほとんどつけていなかった結婚指輪を日頃からつけるようになっていた。
さらに工夫を重ねていった。口頭で事務連絡するのをやめて、夫婦のSlack(チャットによるコミュニケーションツール。主にビジネスで使用される)を作ったり、紙に書いて壁に貼ったりして、コミュニケーションのずれをなくしていった。
一方的に理解を求めるのではなく、妻の都合とすり合わせながら、ともに「合理的な調整」を図っていった。個別の問題ごとに相談し、解決策をさがし、対処した。別居しようとしていた僕たち夫婦に足りていなかったのは、合意形成する技術だったのだ。
仲の良い友人と飲みに行った。「奥さんには本気で感謝したほうがいい」と言われた。「奥さんがいなかったらいま頃ヤバイことになっている」と。そうだと思う。
※抜粋後半はこちら:「普通の父親」になれなかった僕が、妻と娘と生きていくために受け入れた役回り
『僕は死なない子育てをする: 発達障害と家族の物語』
遠藤 光太 著
創元社
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