最新記事

音楽

「自分たちらしく、時代に合ったものを」デュラン・デュランが語る40周年

Forty Years Later

2021年10月22日(金)19時37分
デービッド・チウ

211026P52_DUD_01.jpg

1981年当時の写真(左からアンディ・テイラー、ジョン・テイラー、ルボン、ロジャー・テイラー、ローズ) MICHAEL PUTLAND/GETTY IMAGES

2人目はジョルジオ・モルダー。彼は収録曲「ビューティフル・ライズ」や「トゥナイト・ユナイテッド」の共同プロデュースを手掛けた。彼とデュラン・デュランの出会いは、6年前のGQメン・オブ・ザ・イヤーの授賞式。「その1年後にようやくスケジュールが合って、一緒にスタジオに入ることができた。彼は完璧なプロフェッショナルで、私たちが望むもの全てを兼ね備えている人物」だったと、ローズは言う。

そして3人目が、ブラーのグレアム・コクソン。アルバム収録曲のほとんどで、彼はギターを担当した。2006年にアンディ・テイラーが抜けて以降、デュラン・デュランには決まったギタリストがいなかった。

「僕らは同じようなフレーズを繰り返させて、ギタリストの良さを殺してしまう傾向がある」と言ったのはベースのジョン。「でも、グレアムには自由に弾かせるしかなかった。それくらい彼の演奏は素晴らしかった」

コロナで打ちのめされた日々

何か新しいことをやろうと言って、メンバーが集まったのは3年前のこと。当初は多くても6曲くらいのEPでいいと思っていたが、結果は15曲のフルアルバムに。中には「インヴィジブル(見えないもの)」のように、コロナ禍のシュールな時代を予見したような楽曲もある。

「すっかり打ちのめされた気分の日々もあった」と、ルボンは言う。「でも、負けちゃいけない、絶対に前へ進むんだという覚悟があった。それがアルバムのテーマだ。どんな問題も乗り越えて立ち上がる。そういうことだ」

ジョンによれば、昨年のロックダウン中はアルバム作りを中止せざるを得なかった。「昨年の夏にはリリースする予定だったけれど、3月にはスタジオを閉めて、みんな家に帰った。9カ月後にスタジオに戻って制作を再開したとき、作った曲を聴き直したら、この状況にぴったりの曲がたくさんあった。「トゥナイト・ユナイテッド」や「フューチャー・パスト」はパンデミックの歌のように聞こえるかもしれないが、どちらもパンデミックの前に作っていた」

今年はデビューアルバム『デュラン・デュラン』の発表から40年という節目の年だ。落ち目の工業都市バーミンガムで78年にニック・ローズとジョン・テイラーが結成したデュラン・デュランは、景気の見通しも暗くパンクの人気も凋落していたイギリスに、そのスタイリッシュな音楽で明るい未来を見せてくれた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドルが対円・ユーロで上昇、FRB議長

ビジネス

米国株式市場=まちまち、金利の道筋見極め

ビジネス

制約的政策、当面維持も インフレ低下確信に時間要=

ビジネス

米鉱工業生産、3月製造業は0.5%上昇 市場予想上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 2

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア黒海艦隊「主力不在」の実態

  • 3

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 4

    韓国の春に思うこと、セウォル号事故から10年

  • 5

    中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界が…

  • 6

    【地図】【戦況解説】ウクライナ防衛の背骨を成し、…

  • 7

    訪中のショルツ独首相が語った「中国車への注文」

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    「アイアンドーム」では足りなかった。イスラエルの…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 7

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    猫がニシキヘビに「食べられかけている」悪夢の光景.…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中