「自分たちらしく、時代に合ったものを」デュラン・デュランが語る40周年
Forty Years Later
2人目はジョルジオ・モルダー。彼は収録曲「ビューティフル・ライズ」や「トゥナイト・ユナイテッド」の共同プロデュースを手掛けた。彼とデュラン・デュランの出会いは、6年前のGQメン・オブ・ザ・イヤーの授賞式。「その1年後にようやくスケジュールが合って、一緒にスタジオに入ることができた。彼は完璧なプロフェッショナルで、私たちが望むもの全てを兼ね備えている人物」だったと、ローズは言う。
そして3人目が、ブラーのグレアム・コクソン。アルバム収録曲のほとんどで、彼はギターを担当した。2006年にアンディ・テイラーが抜けて以降、デュラン・デュランには決まったギタリストがいなかった。
「僕らは同じようなフレーズを繰り返させて、ギタリストの良さを殺してしまう傾向がある」と言ったのはベースのジョン。「でも、グレアムには自由に弾かせるしかなかった。それくらい彼の演奏は素晴らしかった」
コロナで打ちのめされた日々
何か新しいことをやろうと言って、メンバーが集まったのは3年前のこと。当初は多くても6曲くらいのEPでいいと思っていたが、結果は15曲のフルアルバムに。中には「インヴィジブル(見えないもの)」のように、コロナ禍のシュールな時代を予見したような楽曲もある。
「すっかり打ちのめされた気分の日々もあった」と、ルボンは言う。「でも、負けちゃいけない、絶対に前へ進むんだという覚悟があった。それがアルバムのテーマだ。どんな問題も乗り越えて立ち上がる。そういうことだ」
ジョンによれば、昨年のロックダウン中はアルバム作りを中止せざるを得なかった。「昨年の夏にはリリースする予定だったけれど、3月にはスタジオを閉めて、みんな家に帰った。9カ月後にスタジオに戻って制作を再開したとき、作った曲を聴き直したら、この状況にぴったりの曲がたくさんあった。「トゥナイト・ユナイテッド」や「フューチャー・パスト」はパンデミックの歌のように聞こえるかもしれないが、どちらもパンデミックの前に作っていた」
今年はデビューアルバム『デュラン・デュラン』の発表から40年という節目の年だ。落ち目の工業都市バーミンガムで78年にニック・ローズとジョン・テイラーが結成したデュラン・デュランは、景気の見通しも暗くパンクの人気も凋落していたイギリスに、そのスタイリッシュな音楽で明るい未来を見せてくれた。