最新記事

ヘルス

尿酸値14.8でも痛風にならない「プレミアムな患者」が医師から頼まれたこととは──

2021年10月3日(日)13時30分
樋口真嗣(映画監督) *PRESIDENT Onlineからの転載

昔はウイスキーが苦手だったけど、いまはお酒自体がおいしくなったんでしょう。ハイボールも普通に飲めるようになった。自分が慣れたのではなく、昔の酒がまずかったんだと思うんです。

コロナ禍で、2年近く表立って酒が飲めない日が続きましたよね。そこで気がついたのは、もしかすると、自分はお酒が飲みたくてこの仕事してるんじゃないかって。

映画の現場って他のどんな仕事よりもお酒を飲むことに抵抗が少ない仕事だと思うんです。乱暴な言い方をすれば、飲もうと思えばいつでも飲める。朝からだって飲むことが許される。いや、飲まないけど。それが楽しいから、この仕事を辞めずここまできたんじゃないかって思います。最近は飲み会がなくて寂しいですよ。

「キャメラマンが痛風で来れません」では驚かない

そのせいなのか、この業界に痛風は多いですね。

「キャメラマンが痛風で来れません」という報告は何度も受けてますし、『隠し砦の三悪人』という作品を撮った時は、メインスタッフで自分以外はみんな痛風持ちでした。

押井守さんが2001年公開の『アヴァロン』という映画をポーランドで撮影したときは、初日から現地で痛風の発作が出て車椅子に乗って撮影をしたんですって。その時の写真も見たら車椅子に乗って銃撃戦の演出をしてて、まるで晩年のサム・ペキンパーみたいでカッコよかったですよ。

撮影のロケ車でも、先輩たちが痛風談義をしているのは日常茶飯事。痛風とぎっくり腰って、なんだか同情されるレベルが低いんですよね。ちょっと間抜けに聞こえるのでしょうか。

だから、若かった頃は、自分はああはなるまいって思っていたのを覚えています。まさか自分がそんな高尿酸値のポテンシャルの持ち主だとは思いもしませんでしたから。

新しい主治医はキビシイ系の女医

数カ月後、主治医の先生が留学して、担当が変わって女性医師になりました。

3カ月に1度、定期検診があるんですが、その先生がクラスに一人はいた理系女子そのままの見た目と話し方でね。おそらく日本の医学を革新するために必要な、データソースである私に、すごくぞんざいなタメ語で話してくるんですよ。もちろん私の生活が問題だらけだからなんですが。

「君、ぜんぜん数値がよくなってないじゃない」

ちょっとドライな言い方は、「痛風ごときで、私の手をわずらわせないで」という態度にしか私には見えなくて、自分の中の新たな扉が開きそうになってしまうのを感じました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中