連続殺人鬼とFBI分析官の奇妙な友情...テッド・バンディをイライジャ・ウッドが語る
A New Ted Bundy Story
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ウッドは俳優としても製作者としても作品に関わった KURT KRIEGERーCORBIS/GETTY IMAGES
<米史上に残る犯罪者の語られざる物語に焦点を当てた映画『ノー・マン・オブ・ゴッド』の魅力を、主演のイライジャ・ウッドが語る>
テッド・バンディといえば、1970年代にアメリカで少なくとも30人の女性を殺害した連続殺人鬼。彼を題材にした本や映画は、たくさんある。
しかしバンディを必死に取り調べ、罪を認めさせたFBI分析官のビル・ハグマイヤーについては、今まで全く語られていなかった。
そのハグマイヤーに焦点を当てた映画『ノー・マン・オブ・ゴッド』が、8月27日からアメリカでオンデマンド配信されている(一部映画館でも上映中)。ルーク・カービー演じるバンディと対決するハグマイヤーは、イライジャ・ウッドが演じている。
この作品では製作も手掛け、5年前から企画を温めてきたというウッドに、本誌H・アラン・スコットが話を聞いた。
――ハグマイヤーの物語のどんなところに魅力を感じた?
まず、ハグマイヤーとバンディの会話記録を基に書かれた脚本があると知って、関心を持った。それから、今まで全く知られていない物語であることに興味を引かれた。
バンディはハグマイヤーを親友だとまで思うようになった。彼はFBIを信用しておらず、ハグマイヤーとの会話記録が当局者に利用されることを恐れていた。でもハグマイヤーは約束を守る人物で、誠実さを最も重んじた。バンディの暴露話で儲けようなどとは思わなかった。
――バンディのどこが人々の興味をかき立てるのだろう?
連続殺人犯といっても、バンディは物静かでも控えめでもなく、社会の一員であり続けていた。地元政界にも携わり、弁護士を目指して勉強し、彼の無実を信じる人々と関係を築いていた。彼が人々の想像力をかき立てる理由は、そういう点だと思う。
――バンディ役のルーク・カービーと組んだ感想は?
素晴らしい体験だった。ルークは私とは全く違うやり方で、作品に向き合っていた。
彼は役作りに当たって多くのインタビューを聞き、不快な資料も丹念に読み込んだ。(取調室のセットで)彼と向かい合って座っていると、時として本当に連続殺人犯を前にしているように思えた。