「ロボット軍団vs変人一家」の物語が、こんなに複雑で奥深いなんて...
The Mitchells’ Offbeat Triumph
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ケイティたちはドライブ旅行中にロボットの反乱に巻き込まれる NETFLIX
<楽しさ満載の『ミッチェル家とマシンの反乱』は、『LEGOムービー』の製作陣が放つ快作>
父と娘の複雑な関係を描くアニメ映画が絶好調だ。
アカデミー賞にノミネートされた『ウルフウォーカー』では中世アイルランドを舞台に、イングランドの護国卿の命令でオオカミ退治にやって来た猟師が、オオカミを救おうとする娘の身を案じる。同じく『ミッチェル家とマシンの反乱』(ネットフリックスで配信中)でも、IT嫌いの父親が映画監督を目指す娘を心配する。
ケイティ・ミッチェル(声はアビ・ジェイコブソン)はクリエーティブな変わり者の典型。映画学校に合格し、ネットで知り合ったクラスメイトに会うのを楽しみにしている。大自然を愛する父親リック(ダニー・マクブライド)は、そんな娘のことがますます理解できなくなっている。
家を出る前夜、ケイティは自作の映画を家族に披露する。だがリックに分かるのは、テーブルに置くなといつも言っているノートパソコンがそこに置いてあることと、失敗するに決まっている夢に娘が人生をささげようとしていることだけ。2人はけんかになり、リックは弾みでパソコンを壊してしまう。
何とか仲直りしたいリックは、ケイティの航空券を勝手にキャンセルし、家族全員で送り届けようとドライブ旅行に出発するが、途中でロボットの反乱に巻き込まれる。
反乱を指揮するのはスマホのバーチャルアシスタント、PAL(オリビア・コールマン)。生みの親であるIT企業CEO(エリック・アンドレ)が新たに開発したロボット型アシスタントに切り替えようとしていることに怒り、人類への反乱を企てたのだ。
PALは捨てられた子のように抑えた怒りをにじませるが、IT系男子のCEOはある意味で甘えん坊の子供。彼ご自慢のロボット型アシスタントは、朝食の用意や部屋の片付けなど、あらゆる家事をこなす。CEOにとって、超最先端ガジェットの理想の機能とは「感謝せずに済む母親」なのだ。
ミッチェル家がロボット軍団に捕まって宇宙のかなたに放り出されずに済むのは、彼らが特に素晴らしいからでも特に駄目だからでもない。ミッチェル家が逃げ、一見完璧なお隣さんが捕まるのは単なる運だ(インスタグラムでも有名な隣の一家の声が、クリッシー・テイゲン、ジョン・レジェンド、シャーリン・イーだというのも完璧)。
母親のリンダは小学校教師。弟のアーロンは恐竜オタク。リックから話をするときはスマホやタブレットを置けと言われて涙ぐみはするが、ITどっぷりというわけでもない。