「韓国っぽ」なお菓子からおばあちゃんの手書き文字まで 無料ハングルフォント続々と
韓国の食品メーカー「ビングレ」社は商品のロゴデザインをオリジナルフォントとして無料配布している。画像はビングレフォント・ウェブサイトから。
<フォントにはデザインの美しさだけでなく、歴史的な思いも込められていた>
ここ数年、韓国ではハングルのフォントの無料配布がブームである。とくに10月9日の「ハングルの日」前後には様々な企業が自社でデザインしたフォントを無料配布するニュースを見かけることが多い。
「ハングルの日(한글날)」は、1927年に韓国で制定された。1970年から1989年まで祝日だったが、1990年からは平日になっていた。しかし、2012年に休日再指定案が発議され、2013年には休日として復活している。趣旨としては、ハングルを作り出した朝鮮王朝第4代国王の世宗大王を称える日であるともに、ハングルを世界に広めようという日でもある。
そういった「ハングルを普及させる」という意味でも、ここ数年ハングルの日に合わせ、様ざまな企業や団体がマーケティングの一環としてユニークなオリジナルフォントを一般に向けて無料配布しているのである。
"韓国っぽ"な鯛焼きアイス「プンオッサマンコ」のフォント
ユニークなフォント配布の一例を紹介しよう。韓国旅行に行ったことある人や、韓国映画・ドラマを見たことある人にはおなじみのバナナ牛乳。これを発売している韓国の食品メーカー「ビングレ」社は、ここ5年連続で自社製品のためにデザインされたオリジナルフォントを専用サイトで公開している。
去年のハングルの日には、1991年から販売している鯛焼きのような人気アイスクリーム商品「プンオッサマンコ」のロゴフォントが配布された。太字で丸々としてかわいい文字はユニークで、5カ月経った今でも人気で、多くの人にダウンロードされているという。ちなみにビングレ社のフォントにはハングルのほか、半角英数字、そしてなんとひらがなとカタカナも含まれているので、気になる人は実際に使ってみると面白いだろう。
民族の誇りが込められたフォントも
文字に熱い思いが込められたフォントを無料配布しているのは、忠淸南道の天安市にある「独立記念館」だ。1月27日、独立記念館は館内で使用されているオリジナルフォントを一般ダウンロードできるように公開すると発表した。
記念館内で使われているフォントがオリジナル製作された物だということもびっくりだが、実はこの字体、韓国内の民族運動を世界に知らせようと発行された「独立新聞」上海版と、在米韓国人向けの新聞「新韓民報」の字をモチーフに作られているという。
当時の印刷用ハングル・フォントを元に、現代でも読みやすくデザインされた書体であり、館内の展示説明やパンフレットに使用されている。独立運動の精神を伝えようという気持ちが1文字1文字に込められている力強いデザインだ。今でも独立記念館の公式ホームページやネイバーフォントでダウンロードできるようになっている。