カタカナ語を使いたがる「よそが気になる」日本人(とドイツ人)
しかし、「よそが気になる」ことはデメリットばかりではない。日本とドイツが戦後奇跡的な復興を遂げたのも、トップランナーたちに「追いつけ、追い越せ」と負けじと頑張る、「よそが気になる」国民性が大いに寄与しているだろう。
今やヨーロッパで独り勝ちのドイツは、もう「よそが気になる」必要はないはずだが、国民性というのはめったなことでは変わるものではない。それはわたしたち日本人のことを考えてもよくわかるのではないだろうか。
もはやアジアで独り勝ちとは言えなくなっている日本における「海外では~」の「出羽守」論は言うまでもないが、一見逆に見える昨今の「日本すごい!」論も、やはり「よそが気になる」ことから生まれているのだろう。
目にあまるほどに日本語に外来語(カタカナ語)が増え続けている理由が、コンプレックスではなく、真に「いいもの」や「本物」なら進んで取り入れようという心意気であるならいいのだが......。
[筆者]
平野卿子
翻訳家。お茶の水女子大学卒業後、ドイツ・テュービンゲン大学留学。訳書に『敏感すぎるあなたへ――緊張、不安、パニックは自分で断ち切れる』、『落ち込みやすいあなたへ――「うつ」も「燃え尽き症候群」も自分で断ち切れる』(ともにCCCメディアハウス)、『ネオナチの少女』(筑摩書房)、『キャプテン・ブルーベアの13と1/2の人生』(河出書房新社、2006年レッシング・ドイツ連邦共和国翻訳賞受賞)など多数。著書に『肌断食――スキンケア、やめました』(河出書房新社)がある。
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