熱烈なBTSファンの娘に、親として言いたいこと
CRAZY IN LOVE
一方、多くの友人は応援するサッカーチームのために大金をつぎ込み、休暇や結婚式も試合日程に合わせて決める。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が起こるまで、彼らは隔週日曜日、降っても晴れても3万人の大観衆に交じってスタジアムで声を張り上げていた。
実際、私は友人や娘が羨ましい。彼らの情熱は共同型で、分かち合えるものだからだ。私にもファン仲間がいればよかったが、私の情熱はどれも単独型で孤独だった。
ただし、同族意識に満ちた対立を生むサッカーとも違って、BTSとARMYはインクルーシブなようだ。国籍や人種、性別、セクシュアリティー、年齢を問わず誰でも歓迎する。
私たちの生活と世界がひたすら孤立と孤独の度合いを深めるようにしばしば思えるなか、この共同体意識こそ、たぶんBTSの最高の側面だ。
同時に、恋に落ち、情熱的に愛することは特別な才能だと思う。愛の対象がBTSであってもなくても、娘にはその才能を失わず、常に情熱的に愛せる人間でいてほしい。
(筆者はイギリス出身で日本在住。近著『Xと云う患者 龍之介幻想』)
<2020年12月1日号「BTSが変えた世界」特集より>
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