最新記事

映画

コロナで劇場公開断念したディズニー「ムーラン」 香港デモやウイグル問題で炎上しつつ華咲くことはできるか?

2020年9月12日(土)19時21分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

ワールドプレミアでも騒動が

中国人の一部ネットユーザー達が、『ムーラン』にあまり好印象を持っていないのには訳がある。今年3月に行われたワールドプレミアの会場で、インタビューに答えた主人公リウ・イーフェイが「1人のアジア系として誇りに思います」と発言した。

日本人からすれば大して何も感じない回答だが、一部の中国人からは「なぜ"中国人(もしくは中華系)"と言わないのか」という批判の声が上がり、なんと、中国側からも映画をボイコットしようという声が上がっていたのだ。

このように紆余曲折あったものの、9月4日ついにDisney+での公開にこぎつけることが出来た。『ムーラン』を見るためには、Disney+に加入し、さらにレンタル料にあたる「プレミアアクセス」を購入する必要がある。

この価格もかなり強気の料金設定で、アメリカでは29.99ドル。日本でも2980円(税抜)だ。今劇場料金が一般一人1900円なので二人以上で見れば元が取れる。それでも高いとお思いの日本の皆さん。日本では12月4日より課金無しで会員全員が見られるようになるそうだ。あと3カ月我慢しよう。

アニメ版のように花咲くことはできるか?

良くも悪くも話題に浮上したことがノイズマーケティングになったのか、9月4日の『ムーラン』配信開始日から2日間で、Disney+のダウンロード数は前年比から68%UP、さらにアプリ内の課金売上は、193%のUPとなった。蓋を開けてみれば上々の滑り出しを見せている。

原作ムーランの中で「The flower that blooms in adversity is the rarest and most beautiful of all.」という有名なセリフがある。これは「逆境に咲く花こそ、最も貴重であり、最も美しい。」という意味だ。ムーランと同じアジア人女性として、逆境で戦う強い女性を描いたこの作品が実写化されると聞いた時は嬉しかった。

しかし、その後あまりにも問題が浮上し過ぎたため、本来作品だけを見て評価しなくてはならないところ、他の情報がちらつき、冷静に作品を見られる状態ではない。この逆境も乗り越え、実写化映画『ムーラン』は美しく咲く花となれるだろうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中