コロナで劇場公開断念したディズニー「ムーラン」 香港デモやウイグル問題で炎上しつつ華咲くことはできるか?
ワールドプレミアでも騒動が
中国人の一部ネットユーザー達が、『ムーラン』にあまり好印象を持っていないのには訳がある。今年3月に行われたワールドプレミアの会場で、インタビューに答えた主人公リウ・イーフェイが「1人のアジア系として誇りに思います」と発言した。
日本人からすれば大して何も感じない回答だが、一部の中国人からは「なぜ"中国人(もしくは中華系)"と言わないのか」という批判の声が上がり、なんと、中国側からも映画をボイコットしようという声が上がっていたのだ。
このように紆余曲折あったものの、9月4日ついにDisney+での公開にこぎつけることが出来た。『ムーラン』を見るためには、Disney+に加入し、さらにレンタル料にあたる「プレミアアクセス」を購入する必要がある。
この価格もかなり強気の料金設定で、アメリカでは29.99ドル。日本でも2980円(税抜)だ。今劇場料金が一般一人1900円なので二人以上で見れば元が取れる。それでも高いとお思いの日本の皆さん。日本では12月4日より課金無しで会員全員が見られるようになるそうだ。あと3カ月我慢しよう。
アニメ版のように花咲くことはできるか?
良くも悪くも話題に浮上したことがノイズマーケティングになったのか、9月4日の『ムーラン』配信開始日から2日間で、Disney+のダウンロード数は前年比から68%UP、さらにアプリ内の課金売上は、193%のUPとなった。蓋を開けてみれば上々の滑り出しを見せている。
原作ムーランの中で「The flower that blooms in adversity is the rarest and most beautiful of all.」という有名なセリフがある。これは「逆境に咲く花こそ、最も貴重であり、最も美しい。」という意味だ。ムーランと同じアジア人女性として、逆境で戦う強い女性を描いたこの作品が実写化されると聞いた時は嬉しかった。
しかし、その後あまりにも問題が浮上し過ぎたため、本来作品だけを見て評価しなくてはならないところ、他の情報がちらつき、冷静に作品を見られる状態ではない。この逆境も乗り越え、実写化映画『ムーラン』は美しく咲く花となれるだろうか。