韓国映画界、コロナ禍の苦境を救うのはゾンビ? 早くも動員150万人のヒットに
コロナで観客動員が伸び悩んでいた韓国映画界を救った『#生きている』。映画のワンシーンと主演のユ・アイン(右) 연합뉴스TV / YouTube
<営業再開しても空席が目立っていた映画館の客席を埋めたのはゾンビたちだった......>
6月24日韓国で公開された映画『#生きている(英題:#ALIVE)』(チョ・イリョン監督)が、ポストコロナでの韓国映画の起死回生作品となるかのように公開後5日間で観客動員100万人を突破した。公開初日以降、連日ボックスオフィス1位を記録し、今月6日には150万人を突破するなど好調な結果を出している。
さらに、今月15日には世界185カ国に販売が決定し、カンヌ国際映画祭から今年の招待作品に認定された『半島』(ヨン・サンホ監督)も公開予定だが、公開9日前にして既にチケット予約が3万枚を突破し、予約率31.2%(当日分も含めた全予約に占める割合)を記録した。
この2作作品に共通するキーワードは「ゾンビ」だ。まさかゾンビ映画が韓国映画館の復活にひと役買うことになるとは、10年前まで誰も考えもしなかっただろう。
ゾンビ映画を革新した『新感染 ファイナル・エクスプレス』
これまで「ゾンビ映画」といえば、世界的にB級イメージ、もしくはコメディーの印象が強かった。韓国でもコメディー要素のある作品に登場する程度だったが、2016年のカンヌ国際映画祭で『新感染 ファイナル・エクスプレス』がミッドナイト・スクリーニング部門に特別招待作品として選ばれたころから流れが大きく変わった。当時、このカンヌ映画祭に筆者も参加していたが、現地でも試写会チケットの人気は高く話題となっていた。
これまで、韓国は様々なブームを生み出してきた。韓流ドラマ、K-POP、Kコスメ、Kフード、Kムービーときて、これからはKゾンビの時代だ。
まず、ゾンビとひと言でいっても様々な定義がある。「何らかの力で死者が蘇ったモンスターパターン」や、「ウィルスなどでゾンビのような症状が出た人が人を襲うパターン」など様々だが、ここでは一度死んで蘇り、生きている人を襲う元人間たちを「ゾンビ」と呼ぶことにする。