最新記事

映画

韓国映画界、コロナ禍の苦境を救うのはゾンビ? 早くも動員150万人のヒットに

2020年7月10日(金)18時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

コロナで観客動員が伸び悩んでいた韓国映画界を救った『#生きている』。映画のワンシーンと主演のユ・アイン(右) 연합뉴스TV / YouTube

<営業再開しても空席が目立っていた映画館の客席を埋めたのはゾンビたちだった......>

6月24日韓国で公開された映画『#生きている(英題:#ALIVE)』(チョ・イリョン監督)が、ポストコロナでの韓国映画の起死回生作品となるかのように公開後5日間で観客動員100万人を突破した。公開初日以降、連日ボックスオフィス1位を記録し、今月6日には150万人を突破するなど好調な結果を出している。

さらに、今月15日には世界185カ国に販売が決定し、カンヌ国際映画祭から今年の招待作品に認定された『半島』(ヨン・サンホ監督)も公開予定だが、公開9日前にして既にチケット予約が3万枚を突破し、予約率31.2%(当日分も含めた全予約に占める割合)を記録した。

この2作作品に共通するキーワードは「ゾンビ」だ。まさかゾンビ映画が韓国映画館の復活にひと役買うことになるとは、10年前まで誰も考えもしなかっただろう。

ゾンビ映画を革新した『新感染 ファイナル・エクスプレス』

これまで「ゾンビ映画」といえば、世界的にB級イメージ、もしくはコメディーの印象が強かった。韓国でもコメディー要素のある作品に登場する程度だったが、2016年のカンヌ国際映画祭で『新感染 ファイナル・エクスプレス』がミッドナイト・スクリーニング部門に特別招待作品として選ばれたころから流れが大きく変わった。当時、このカンヌ映画祭に筆者も参加していたが、現地でも試写会チケットの人気は高く話題となっていた。

これまで、韓国は様々なブームを生み出してきた。韓流ドラマ、K-POP、Kコスメ、Kフード、Kムービーときて、これからはKゾンビの時代だ。

まず、ゾンビとひと言でいっても様々な定義がある。「何らかの力で死者が蘇ったモンスターパターン」や、「ウィルスなどでゾンビのような症状が出た人が人を襲うパターン」など様々だが、ここでは一度死んで蘇り、生きている人を襲う元人間たちを「ゾンビ」と呼ぶことにする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ルペン氏に有罪判決、被選挙権停止で次期大統領選出馬

ビジネス

中国人民銀、アウトライトリバースレポで3月に800

ビジネス

独2月小売売上は予想超えも輸入価格が大幅上昇、消費

ビジネス

日産とルノー、株式の持ち合い義務10%に引き下げ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中