「生きさせろ!」 コロナショックで苦境に陥る映画館、生き残りかけ模索
全米でシネコンチェーンはすべて閉館するなど、映画業界はコロナショックで危機的状況に陥っている。写真は3月17日NYのタイムズスクエアにあるリーガルシネマ。 Carlo Allegri - REUTERS
<不要不急の外出自粛が求められるなか、各国の映画関係者は必死の闘いをしている>
いまだ収束のめどがつかず、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。感染予防として「STAY HOME」が呼びかけられ、世界人口の約半分に当たる39億人を超える人々が自宅待機を求められている状態だ。それに伴いさまざまな業種に大きな影響が出ているが、特にエンターテイメント業界は深刻さを増している。
お隣りの国、韓国は今年2月に映画『パラサイト 半地下の家族』が米アカデミー賞4冠に輝き、世界各国で韓国映画の観客動員記録を打ち立てるなど、今年は韓国映画旋風が巻き起こると期待したのもつかの間、新型コロナウイルスの感染拡大でそれどころではなくなってしまった。
韓国国内でも映画館へ出向く観客が激減し、3月の集客結果は映画振興委員会が2004年に全国チケット集計を始めて以来、史上最低の集客結果となった。
業界団体が結束、政府の経済対策に映画業界支援を盛り込ませる
コロナ感染者が増えだした1月頃から急激に集客数が減りだし、政府は映画館業界に「ハンドサニタイザー5000本の支給、映画振興基金徴収の一時的猶予、劇場防疫イベントの支援」などの対策を実行していた。
しかしこれだけでは足りないと韓国上映館協会をはじめ、韓国撮影監督協会、プロデューサー協会、映画制作家協会など各種映画関連団体が共同で、「政府の金融支援政策を今すぐ施行すること」などを含む要望書を政府の文化体育観光部と映画振興委員会へ3月25日に提出した。
そのかいあってか、4月1日政府が発表した「新型コロナウイルス関連業種別支援法案III」には「映画発展基金徴収の一時的減免(今年いっぱい免除)、撮影・製作中断された国内映画20作に対する製作支援金支援、短期失業状態に置かれた映画スタッフ400人を対象に職業訓練支援、映画観覧割引券と広報キャンペーンの支援」など具体的な案が加えられている。
各社のシネコンチェーンでは客席を1席飛ばしでチケット販売し、間隔をあけるように客を配置するなどの独自で工夫しながら営業中だが、いくつかのミニシアターは経営難で休館せざる負えなくなってしまった。
また、映画館が営業をしていても新作の封切日延期が続き、公開する映画がなくなるというトラブルも発生。そのため、これまで人気のあった作品の再上映や未公開だった作品を公開する映画館が急増している。韓国国内での今年1〜3月期の再上映作品はなんと130作にも上った。これは昨年の67作品の倍にあたる作品数だ。
また、外国映画の買い付けをする会社が作る「映画輸入配給会社協会」では、有志14社が一緒に協力し、毎週3、4本の未公開作品をシネコンで上映する企画展上映を行っている。