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2019年韓国映画界1000万超ヒットが5本も 撮影所から幽霊・水漏れまでヒットを呼ぶ要素

2019年12月22日(日)14時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

行政主導の釜山より映画人の口コミの全州が成功?

韓国の映画産業が世界から注目を集めるようになってきたころから、映画のロケ地を地方都市が招致しようとしてきた。特に国をあげて取り組みだしたのが「釜山国際映画祭」で有名な釜山市だ。『ブラックパンサー』などハリウッド映画の撮影誘致も成功させ、映画施設も多く建設されている。

しかし、映画等級審議委員会(日本の映倫のようなレーティングを決める機関)が釜山に移る際、「今後映画1本のために釜山へ行き来しなくてはいけないのか?」と映画会社側から反発が起こった。その後、発送が可能になり今ではオンラインでも受け付けてはいるが、神経質な会社はハッキングなど、公開前の流出を恐れている。

そんな行政の力づくで仕立てあげようとした"釜山映画都市化"計画がある一方で、11年目にして急速に注目を集めだしたのが全州映画総合撮影所である。無理やり誘致するのではなく、映画撮影スタッフらの立場に寄り添い、必要なものを準備していくうちに、自然と全州市に映画人が集まりだした。その結果、素晴らしい作品が次々と誕生し、ヒット作を生むというジンクスなどの助けも借りて、今では撮影所の映画都市となりつつある。

何事も無理強いをするのではなく、相手の立場に立って考え進んでいくと、知らず知らずのうちに結果が伴ってくるものなのだろう。今月10日には、先述の南揚州総合撮影所が閉鎖された。今後ますます全州映画総合撮影所に作品が集まり素晴らしい作品が生み出されていくだろう。

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