BTSを抜いた! 2019年韓国で大ブレイクした新人スター「ペンス」とは?
ASEANサミットの広報で康京和外交部長官と共演
ペンスを一気に有名にしたのは、歯に衣着せぬその性格にある。自らの所属するEBSのキム・ミョンジュン社長を呼び捨てにし、さらにはMBC、SBS、JTBC、KBSと他局の番組にも次々と出演。出演先の各社の社長の名前ですら呼び捨てでネタにするなど、一般的な芸能人だったら恐れ多くて出来ないであろうことを、10歳という設定年齢と着ぐるみを通して可能にした。
これまで韓国では内輪ネタとも取れるテレビ側の事情を織り交ぜてキャラクターが喋ることはなかったので、新鮮味があり面白い。これが子供たち以上に成人男女から人気を集める秘密だろう。さらに、人気を集めるきっかけになったのがTV放送だけでなくYouTubeチャンネルだったという点も新しい。TVと個人動画の垣根が低い若い世代にとって、YouTubeからの人気がいかにブームに火をつけやすいか象徴しているとも言える。
これほどまでに人気が出ると、放送以外の分野にもペンス人気が広がってきた。グラビア写真を含む特集を載せたファッション雑誌NYLON(12月号)は完売し、ペンスのエッセイ集『今日もペンス、明日もペンス』は、販売開始3時間で売り切れた。LG、ロッテ製菓、ロッテリアを含む各企業とのCM契約が続々進行中であり、ついには政治の世界でも活躍の場を広げ、今年11月末に釜山で行われた「2019ASEAN特別サミット」の広報映像にも出演した。まさに、ここ数か月で目覚ましい活躍ぶりだ。
ペンスの影響で南極ツアーに人気
興味深いところでは、韓国人がペンスの出身地とされる南極への関心を高めている点だ。オンライン旅行社トリップ.comの発表によると、今年の南極ツアーの予約が昨年比1.8倍へと増加しているという。さらに、ちょうどペンスの人気が高まってきた9月からのサイト訪問者をデータ分析すると、南極への航空券検索者数はおよそ227%と倍増した。
トリップ.comは、「最近のペンス・シンドロームは、文化コンテンツが実際の旅行にインスピレーションを与えている良い例の一つだ」と語っている。日本映画『Love Letter 』(岩井俊二監督)が韓国で大流行した後、北海道を訪れる旅行客が急増するなど、もともと韓国人は日本人同様、ロケ地を巡る「聖地巡礼」する文化は少なからずあったが、キャラクターがきっかけとなって、遠く離れた南極への旅行にまで影響を与えているとは驚きである。