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『ジェミニマン』の老若ウィル・スミス対決は超高画質でも空回り

No Number of Will Smiths Can Save It

2019年10月26日(土)15時00分
サム・アダムズ

スミスの30年に及ぶキャリアを振り返る作品としては、『ジェミニマン』は最高だ。年齢を重ねていくアクションスターを真のテーマにするなら、バイクチェイスのシーンでスタントマンを使っていることがばれても問題はない。

リーはHFR・4K・3D撮影が映画製作の未来だと確信している。ボクシングのモハメド・アリとジョー・フレージャーの戦いを描く次作でも、この撮影技術を使おうという考えだ。しかし、この技術が映画界で主流になるかどうかはともかく、今の段階で『ジェミニマン』にプラスの影響をもたらすとは思えない。

今世紀初め、当時キャリアのピークにあったロバート・ゼメキス監督は、ほとんど見るに堪えないモーションキャプチャー映画の製作に10年もの時間を割いた。リーもその偉大な才能のかなりの部分を、HFR・4K・3D技術の導入のために無駄にしてしまう危険に直面しているのではないか。

まさに、今のリーの前に年を重ねたリーが現れて、忠告してやるべきだとさえ思う。

GEMINI MAN
『ジェミニマン』
監督/アン・リー
主演/ウィル・スミス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド
日本公開は10月25日

©2019 The Slate Group

<本誌2019年10月29日号掲載>

【参考記事】『ジョーカー』怒りを正当化する時代に怒りを描く危うい映画
【参考記事】セックスは命懸け、タフガイは生き残らない......ホラー映画5つの「お約束」

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