公立校もアイビーも「ほぼ男女同数」が合格・入学する
こうした「非凡」だとか「凄い学生」という点では、何も「超一流」だけが評価されるのではありません。反対に、大変な逆境の中から出てきた才能というのも重視されます。例えば、2012年にハーバードは「ホームレス高校生」を入学させたということで話題になりました。
この年に合格したノースカロライナ州出身のドーン・ロギンスさんという受験生は、貧困とドラッグ中毒に囲まれて育ち、父親からも母親からも遺棄された文字通りの「ホームレス高校生」でした。
高校に進学した時点では、不登校が目立ち、学校は彼女をドロップアウト(中退)候補とみなしていたそうですが、「バイオ(生物)を極める中で何か新しい発見に関わっていきたい」という夢を持っていた彼女は、高校から「生徒と用務員としての二重在籍」を認めるという特例を受けて、放課後は校舎の掃除をして生活費を得て、勉強に打ち込んだのだそうです。
ハーバード入学後のロギンスさんは、ハーバードではフェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグが暮らしていた寮に入り、優秀な成績で学生生活のスタートを切ったと言います。
この他にもハーバードは、同じ年にオハイオ州クリーブランド出身のホームレス高校生を入学させていますし、2000年に入学して、同大学卒業後に心理カウンセリングの会社を立ち上げているニューヨーク出身のリズ・マレー氏も有名です。彼女に関しては、都市型の退廃した生活に陥った両親からネグレクトを受ける中で、15歳の時に母親がエイズで死亡、父親はホームレスの救護所に入ってしまって、自分は遺棄されているのです。
こうした経験を踏み台に、マレー氏は自身の半生を『ブレイキング・ナイト』(邦訳・阪急コミュニケーションズ)という書籍にまとめ、現在は同様のケースに陥った人々を救済する活動をしています。こうしたホームレス高校生をハーバードが入学させるのは、そこにあるキャラクターの強さという資質、つまり「凄い学生」であることを評価するからだと言えます。