最新記事

大学

公立校もアイビーも「ほぼ男女同数」が合格・入学する

2015年12月29日(火)07時55分

 こうした「非凡」だとか「凄い学生」という点では、何も「超一流」だけが評価されるのではありません。反対に、大変な逆境の中から出てきた才能というのも重視されます。例えば、2012年にハーバードは「ホームレス高校生」を入学させたということで話題になりました。

 この年に合格したノースカロライナ州出身のドーン・ロギンスさんという受験生は、貧困とドラッグ中毒に囲まれて育ち、父親からも母親からも遺棄された文字通りの「ホームレス高校生」でした。

 高校に進学した時点では、不登校が目立ち、学校は彼女をドロップアウト(中退)候補とみなしていたそうですが、「バイオ(生物)を極める中で何か新しい発見に関わっていきたい」という夢を持っていた彼女は、高校から「生徒と用務員としての二重在籍」を認めるという特例を受けて、放課後は校舎の掃除をして生活費を得て、勉強に打ち込んだのだそうです。

 ハーバード入学後のロギンスさんは、ハーバードではフェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグが暮らしていた寮に入り、優秀な成績で学生生活のスタートを切ったと言います。

 この他にもハーバードは、同じ年にオハイオ州クリーブランド出身のホームレス高校生を入学させていますし、2000年に入学して、同大学卒業後に心理カウンセリングの会社を立ち上げているニューヨーク出身のリズ・マレー氏も有名です。彼女に関しては、都市型の退廃した生活に陥った両親からネグレクトを受ける中で、15歳の時に母親がエイズで死亡、父親はホームレスの救護所に入ってしまって、自分は遺棄されているのです。

 こうした経験を踏み台に、マレー氏は自身の半生を『ブレイキング・ナイト』(邦訳・阪急コミュニケーションズ)という書籍にまとめ、現在は同様のケースに陥った人々を救済する活動をしています。こうしたホームレス高校生をハーバードが入学させるのは、そこにあるキャラクターの強さという資質、つまり「凄い学生」であることを評価するからだと言えます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、6月以来の高水準=ベー

ワールド

ローマ教皇の容体悪化、バチカン「危機的」と発表

ワールド

アングル:カナダ総選挙が接戦の構図に一変、トランプ

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中