ピケティ理論はやがて成立しなくなる
最近は大企業においても、小規模な新しいサービスを無数に立ち上げ、生き残ったものだけを継続させるというやり方が当たり前になっている。こうした時代においては、お金と時間をかけて、自社専用のシステムを作るという行為はコスト的に割が合わないのだ。
そうなってくると、システムに対する投資はアマゾンのような事業者に集中することになるため、投資効率が圧倒的に高くなる。経済全体において必要される初期投資額は大幅に減ってくるだろう。
こうした動きは、情報システムのようなバーチャルな世界だけにとどまらない。最近は、あらゆるモノやサービスを共有する、シェアリングエコノミーが急成長している。多額の初期投資が必要であった工場や車両、建物などに至っても、必要に応じて調達することが可能となるだろう。
ITを使って、世の中に必要なものを、究極的なレベルまでシェアすることになれば、従来、必要と思われていたインフラ投資の過半数が無駄なものになってしまうかもしれない。さらに言えば、多くのビジネスで初期投資が不要ということになれば、これまで資本家が持っていたパワーすら変化する可能性がある。
資本主義の主役であり、市場の中で圧倒的なパワーを持っていた資本の持つ力が、相対的に低下するのである。これは、資本主義が登場してから、初めての現象となるかもしれない。
※第2回:だから、もう『お金』は必要ない はこちら
<加谷珪一『図解 お金持ちの教科書』抜粋シリーズ>
ニューストピックス「図解 お金持ちの教科書」