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紀里谷和明、ハリウッド監督デビューを語る

2015年11月13日(金)17時10分
大橋 希(本誌記者)

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「自分が思い描いていたスケールの作品を可能にしてくれたのがハリウッドだった」と、紀里谷は言う ©2015 Luka Productions

――3作目にしてハリウッドで撮るというのはすごいことのように思えるが、自分の中では特別な感じはなかった?

 特になかったです。ハリウッド映画とはそもそも何かというと、「世界に届けられるチャンネルを持っている」ということ。単純にシステムの話なんです。別にハリウッドで撮っているわけではなくて、世界中のキャストやスタッフたちと世界中で撮っている。

「自分はこういうスケールの作品を撮りたい」と思い描いていたものを、可能にしてくれたのがたまたまハリウッドシステムだった。それが中国だったら中国でもいいし、日本でやらせてもらえるなら日本でやります。

――アメリカなどではアクション映画として宣伝されたというが、観客には「忠義」や「高潔さ」といった部分は伝わったと思う?

 そこが褒めていただけたところだと思う。「Honor」の部分ですよね。

 例えば第二次大戦中のノルマンディー上陸作戦では18歳くらいの子供たちが、真実はどうであれ、自分たちが世界の自由を守る、そのためには命をなくしてもいいという気持ちで戦いに挑んでいった。

 それと同じことだと思う。大切なものを守るために、命を落としてもいいという気持ち。今はモノに執着するあまり、形のないものがないがしろにされている。「それは違う」という考えは中国でも韓国でも中東でも、世界のあらゆるところに存在しますしね。だからこの作品が伝えたいことも伝わるだろうと思っていた。

――自分で街角に立って名刺を配り、作品の宣伝をしている。あなた自身の発案か?

 そうです。『GOEMON』(09年)のときはチラシ配りをしたが、なかなか受け取ってもらえなかった。チラシは大きいからで、名刺なら受け取ってもらえるんじゃないかと思って提案した。

――そうした宣伝活動をする監督は少ないが、なぜそこまでしようと?

 映画が自分の子供だから。子供が病気で死にそうだったら、募金箱を持って外に立ちませんか? もちろん普通の宣伝活動もするし、CMを流したり、テレビに出演したりもする。とにかく1人でも多くの方に見てもらいたいから、自分にできることがあればやりますよ。

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