最新記事
株の基礎知識

ラーメン銘柄が大健闘! 株価の高値を更新した日本企業の銘柄から相場の流れを読み解くと...

2023年4月28日(金)11時55分
佐々木達也 ※かぶまどより転載
ラーメン屋

写真はイメージです RichLegg-iStock.

<株価の高値を更新することは、伸びしろの表れとも言える。最近、相場の雰囲気が一変する中で高値更新を果たした銘柄とは?>

3月は相場の雰囲気が一変

3月の日本株相場は、前半と後半で雰囲気が一変しました。月初にかけては、アメリカのインフレ進行への警戒感が台頭したものの、堅調な経済指標やバリュー株物色などもあり、日本株に資金が流入し、日経平均株価は9日におよそ6か月半ぶりの高値28734円を付けました。

しかし、アメリカで中堅のシリコンバレー銀行やシグネチャーバンクなどの経営破綻が発生したことをきっかけに、相場のムードが一変しました。金融システムへの不安が広がり、日経平均は16日に26632円を付け、約1週間で2000円ほどの下落となりました。

その後は、FRBによる緊急措置や破綻した銀行への買収など迅速な対応もあり、いったんは不安が後退し、戻り相場となって、月末に日経平均は28000円を回復しました。

■高値更新銘柄から物色の変化を見極める

こうした中で、物色の変化を見るために格好の題材となるのが、高値更新銘柄です。

相場解説などで頻繁に使われる「高値更新」とは、読んで字のごとく、ある期間内の高値を更新したという意味です。ここに「昨年来」「年初来」「上場来」など期間を表す言葉が添えられて、「年初来高値を更新」などと言われます。また、新たについた高値を「新高値」と呼びます。

【株価の高値更新】
●上場来高値......株式市場に上場して以来の高値。買い方の強い物色が株価に現れているといえる
●昨年来高値......1〜3月に使われ、前年の1月1日から直近までの期間が対象
●年初来高値......4月以降に使われ、その年の1月1日から直近までの期間が対象

3月の高値更新銘柄

それでは、この3月に高値を更新したのはどのような銘柄だったのでしょうか。さらにそこから、現在の相場状況を読み解いてみましょう。

■EVインフラ加速で関連銘柄に脚光

脱炭素や自動車の電動化などの潮流が続く中で、EV(電気自動車)の電力インフラに関連した銘柄が続々と新高値を更新しています。

送配電機器を扱う東光高岳<6617>は、昨年から強い株価の基調が続いており、3月8日に昨年来高値2641円を付けました。6日の日本経済新聞で、「東京都がEV充電器の増設に本腰を入れ、中古マンション向けの補助上限を2倍超に引き上げる」と報道されたことも、高値更新のきっかけとなりました。

kabumado20230427_chart2.png

EVの普及には急速充電器の整備が急務であり、また、災害時にはEVから建物に電気を供給する電池にもなる点もポイントです。そこで、効率よく電気を給電するために使われるパワー半導体関連銘柄にも同様の動きが出ています。

自動車・家電向けのパワー半導体や電源機器メーカーのサンケン電気<6707>は、3月9日に昨年来高値11790円まで買われました。

kabumado20230427_chart3.png

同じ9日には、パワー半導体やFA機器(ファクトリー・オートメーション機器)の三菱電機<6503>も昨年来高値1602.5円と同じく買われました。

三菱電機はコロナの影響やインフレによるコスト増で重電システムや家電部門の苦戦が続いていましたが、今期は増収増益の見通しとなっています。14日には投資計画の上方修正を発表し、2021〜25年度のパワーデバイス事業の設備投資額を、従来から倍増となる約2600億円に大幅に引き上げるとしました。

kabumado20230427_chart4.png

こうした動きは、同じくパワー半導体メーカーの富士電機<6504>、ローム<6963>などでも相次いでおり、需要の伸びがうかがえます。

(参考記事)いま買われているバリュー株 その背景と意外と知らない新高値銘柄

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中