ラーメン銘柄が大健闘! 株価の高値を更新した日本企業の銘柄から相場の流れを読み解くと...
■WBC侍ジャパン優勝でにぎわった銘柄たち
今年の3月は、日米などで開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本代表・侍ジャパンが見事、アメリカを破って世界一に輝きました。株式市場でも、関連銘柄がにぎわいを見せました。
スポーツ用品のミズノ(美津濃)<8022>は、10日に年初来高値3760円を付けました。ミズノは侍ジャパンのオフィシャルパートナーを務めており、開幕前から公式応援グッズなどが大人気で売り切れが続出していました。
同じく10日には、スポーツ用品卸・小売りのゼット<8135>も昨年来高値420円を付けています。このほか、英国風パブのハブ<3030>も2月から急騰し、9日に年初来高値1003円を付けました。
注目してほしいポイントは、3銘柄ともにWBC開幕戦の8日近辺に高値を付け、その後は下落している点です。開幕以降、侍ジャパンの快進撃で各メディアは盛り上がりましたが、株式市場ではまさに「噂で買って事実で売る」という相場格言どおりの株価推移となりました。
■「一風堂」「町田商店」などラーメン銘柄が健闘
博多とんこつラーメン専門店の「一風堂」などを運営する力の源ホールディングス<3561>にも買いの勢いが続いており、6日に昨年来高値1578円を付けました。
昨年7月に実施した値上げの効果やインバウンド需要による客数増が評価されています。この日、発表した2月の月次の既存店売上高が前年同月比で29%増となり、なかでも客数は20%増と前年にコロナ影響で営業時間を短縮していた反動もあり、活況となりました。
横浜家系の「町田商店」「豚山」などラーメンブランドを展開するギフトホールディングス<9279>も24日に上場来高値の4675円を付け、高値圏で強い株価の動きとなっています。14日に発表した2022年11月~2023年1月期は売上高が31%増の52億円、営業利益が14%増の5億円と大幅な増収増益でした。
外食関連銘柄は、人件費や材料費などの高騰といった逆風も続いていますが、経営力によって業績が拡大している企業には、資金が向かっているようです。どちらの銘柄も、その後、4月に入ってさらに高値を更新中です。
■金融システム不安で物色に変化も
3月の後半は、金融システム不安によるリスク回避の雰囲気が漂う中、景気の変動を受けにくいディフェンシブ株を物色する動きもありました。
その代表格が、衛生用品大手のユニ・チャーム<8113>です。株価は年初から上昇トレンドが続いており、3月29日に上場来高値5525円を付けました。
世界的にコロナ禍一服でグローバルに業績が拡大する見通しとなっていることや原料価格の一服も評価されています。また、ユニ・チャームの予想PERは40倍と高めですが、アメリカの金利の先高感が一服し、物色がグロース株に向かっていることも買いの要因となっています。
同じようなディフェンシブ株物色では日清食品ホールディングス<2897>も買われ、29日に上場来高値12190円を付けました。
2月6日に2023年3月期の業績予想を上方修正し(アメリカなど海外事業が好調に推移していることによるもの)、その後も買いが入っています。同時にチキンラーメンやカップヌードルなどの値上げも発表しました。値上げは昨年6月以来2年連続で、それによる収益力の改善も期待材料となっています。