最新記事

トレーニング

体脂肪を落とすのに有酸素運動はいらない──ネイビーシールズ仕込みの筋トレ術

2022年7月13日(水)17時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

なぜ、有酸素運動は時間の無駄なのか

冒頭のローレンのコメントに戻る。なぜ、有酸素運動では痩せられないのか。

例えば、「体重60キロの女性が目標とする有酸素運動の心拍域で15時間運動すれば、約500グラムの脂肪が燃焼する」とうたう広告があったとする。

私たちの代謝機能がこの宣伝文句の通りの速度でカロリーを消費していれば、人類は氷河期を生き延びてはいない。マンモスを探している間にカロリーが枯渇し、狩りができずに餓死することになるからだ。

現代に置き換えると、スーパーへ買い物に行くために消費するカロリーだけで息絶え絶えになる、ということを意味する。

ランニング、サイクリングなどの有酸素運動でトレーニングすればするほど楽になるのは、心肺機能が向上するからではない。筋肉に持久力が付くから楽になるのではなく、特定の動作に対して体が効率的に動くようになっただけ。つまり作業効率がアップしているだけなのだ。

有酸素運動を習慣化すると、実際には筋肉が萎縮していく。加齢に伴って多くの人の体重が増え始めるが、それは筋肉量が減っているからだ。そのうえで有酸素運動のみしていたのでは、ますます筋肉量が減ってしまう。

ため込んだ体脂肪を解消するカギは、筋力トレーニングをやって筋肉をつけ、若々しい代謝を取り戻すこと。そのためには、インターバルトレーニングをやるべきだと、ローレンは説く。

高強度エクササイズを一定時間行い、その後、一定時間休息し、それらを繰り返す。有酸素トレーニングに比べ、短時間でより多くのカロリーを消費し、体脂肪を含めた体組成の前向きな変化をもたらしてくれる。

筋肉をつけるだけでなく、ワークアウト後の代謝にも影響を与えることができるため、身体のホメオスタシス(恒常性)を回復させることにつながる。そうなると睡眠中であっても、代謝を上げてカロリーを燃やし続ける。

有酸素運動にはそんな機能はない。効率的に鍛えるには、あらゆる時間をも使う必要があるのだ。

痩せたい、そして筋肉も増やしたいならば、まずは筋肉を増やすことに重点を置く。目標の筋量に達したら、脂肪を減らす作業に切り替えるといい。

1週間の1.2%の時間だけ割けばいい

私たちには選択肢がある。心と魂が住む唯一無二の「家」である体を気遣うか、時間の経過とともに衰えていくほうに身を任せるか。ほとんどの人は衰えていくほうを選ぶ。

一方で、本気で自分を変えようと決める少数派の人たちがいる。ローレンのプログラムは、1日20~30分、週に4~5回をワークアウトに時間を割くことを要求するが、これはその週全体の1.2%未満に相当する時間だ。たったそれだけで十分なのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中