話題のあのバナナジュース専門店は、ファイナンシャルプランナーの副業だった
Antonio Jarosso-iStock.
<全国で店舗数が急拡大中の「まがりDEバナナ」は、実はひとりのファイナンシャルプランナーが始めたアドオン型のFCビジネス。ここから得られる、副業を成功させるヒントとは>
ベストセラー『アウトルック最速仕事術』(ダイヤモンド社)の著者である森新(もり・あらた)氏は、会社員でありながら、業務生産性を高める仕事術を発信しており、いわば「副業のプロ」でもある。
働き方が多様化し始め、「副業解禁」への注目も高まるなか、森氏は新著『普通の会社員のための超副業力』(CCCメディアハウス)を上梓。
失敗しやすい副業とは何か、どうやって競争を回避するか、本業と両立させるために時間をどう作るか、同僚や上司に「本業をおろそかしている」と言われたらどうするか......。
豊富な実例も交え、副業の思考と実践法を記した本書から一部を抜粋し、2回に分けて掲載する。今回は第2回。
※第1回:年収500万円と合計年収500万円、どちらを選ぶか?
副業バナナジュース屋さん、87.7千万円を得る!?
「無形物ビジネスのほうが、時間をコントロールしやすい」とお伝えしてきましたが、有形物でありながら、副業を軌道に乗せただけではなく、大型提携にまで成功した実例を紹介しましょう。
有形物のビジネスは一般的には、仕入れの初期投資が必要になることや、売買差益を得るのに時間差があることで、キャッシュフロー管理が必要となります。また、相場の監視も定期的に必要となるため、性格や本業の働き方によっては向かないケースもあるかもしれません(長期投資資金や初期投資資金が潤沢にあるケースは除く)。
しかし、これらのボトルネックをアイデアで見事に打開した人がいるのです。
新型コロナウイルスで窮地に陥った飲食店向けに、アドオン型のFCビジネスを構築して展開した「まがりDEバナナ」前田晃介さん(本業:ファイナンシャルプランナー、副業:バナナジュース屋さん)の事例です。
前田さんは、新型コロナウイルスに伴い各飲食店がテイクアウトを展開するという「まったく同じ施策」を一斉にやることに、違和感を持っていました。夜の外食産業において、大量の飲食店でシェア争いをするのではなく、「夜以外の時間で、かつ食事以外で」飲食店を支援したほうがよいのではという仮説を立てました。
その結果、どの時間帯でもお客さまが手に取ってくれるソフトドリンクという分野でアドオン型のFCビジネスを考案し、構築したのです。
具体的には、飲食店の夜以外の時間帯に、「まがりDEバナナ」の看板名の通り、「間借り」してバナナジュース店を展開します。これによって、食事のテイクアウトだけでは踏み込めなかった市場への参入を可能としました。
ここまでであれば、「飲食店がこのビジネスモデルを模倣して、FC加盟せずとも自ら実施すればいいのでは?」と思いますよね。しかし、彼のアイデアの価値はこの先にあるのです。