話題のあのバナナジュース専門店は、ファイナンシャルプランナーの副業だった
通常、FC加盟時には加盟料が必要ですが、前田さんは立ち上げ当初の飲食店の現状を踏まえて、加盟料を一切取らずにノウハウを提供しました。容器の仕入れやメニュー開発などのノウハウの構築には、時間がかかります。そのため、収益化を急ぐ飲食店側にとっては、この時点でも加盟のメリットがあります。
さらに、SNSや雑誌などに登場し空中戦を仕掛けることで、一つの飲食店では困難だった複数のメディアへの露出も獲得をしていきます。
では、どうやって前田さんは収益化をしているのか。答えは、バナナジュースの容器にあります。容器にロイヤリティーを入れて販売するのです。
売り上げに比例して容器が注文されていくので、飲食店に大きな初期投資は必要ありません。前田さんも、売り上げに比例した容器の受発注を行うため、在庫を常時抱える必要はありません。バナナの仕入れ自体は、仕入れルートや管理ノウハウを持つ飲食店が行います。
前田さんの本職がお金のプロであるからこそ、幅広い収益構造の選択肢の中から、一見リスクが高く見える分野でも、顧客も含めてリスクを下げる方法を構築することが可能になったのです。そして、強烈なスピードでサービスを構築していきました。
ビジネス開始からわずか1年2か月で100店舗に到達する見込みとなっており、これは「いきなり!ステーキ」の100店舗到達の日本記録である2年8か月を上回るペースとなっています。
結果として、前田さんの元には、このまがりDEバナナ事業の提携の提案が寄せられました。最終的には87.7千万円(バナナ)での大型提携に成功するという、最後の最後まで「そんなバナナ」と感じさせられる事例となりました。
本業とはまったく違う分野で、前田さんは、なぜこんなミラクルを実現できたのか。その要因を考えてみましょう。
まずは、本業と同じ金融の分野での副業を探して収益化を目指すのではなく、金融に限らない、いろいろな業界に対しての「既知」のカードを多数保有していたこと。
さらに、そのカードを引き出し、掛け合わせる力があったこと。最終的にはいままで本業で培ってきたお金の知識をさらに掛け合わせることによって、汎用性と実現性を高めました。
そして何よりも、新型コロナウイルスで激変する飲食店が置かれる環境変化を、まるで自分の体に起きた異変であるかのように当事者意識を持ち、潜在ニーズを探し、仮説検証を進めていったこと。このサイクルを愚直に素早く回す行動力こそが、成功の要因だったのではないでしょうか。
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