その悩みは「解決しなければならないもの」なのか?
この場合、8つ目の質問「どうすれば、もっとワクワクできますか?」を応用し、「自分はどう生きていきたいのか?」「人生をどんな時間で埋め尽くしたいのか?」という質問を自分に問いかければいい。
その質問によって、心の奥底にずっとしまっておいたことや、自分でも思ってもいなかったことを浮かび上がらせ、「その仕事(学校)を辞める/辞めない」以外の答えや考え方を導き出すことができる。それにより、現状を変える行動につなげることもできるのだ。
つまり、自分にいい質問をしないと悩みの本質は見えてこないし、解決のための新しい行動も生まれてこないということだ。
悩めば悩むほど自分らしく、幸せになる
そもそも悩みは「解決しなければならないもの」と考えがちだ。実際、解決のための「正しい答え」がネットや本、自己啓発セミナーなど巷にはたくさん溢れている。
しかし、「悩みは、解決することだけが答えじゃない」と河田氏は言う。
悩みとは、解決する以外にも、「解決しない(受け入れる)」方法もあるし、よりよく生きるために「悩み続ける」方法、自分のこだわりから自由になることで「悩まない」方法もあり、これらは全て等しく悩みとの付き合い方であるという。
そもそも、弱い自分を見せたくないと、悩みを抱えていること自体を秘密にしている人も少なくないが、悩むことは恥ずかしいことでも、後ろめたいことでもない。
悩みこそが人生を豊かにする「糧(かて)」であり、人は悩めば悩むほどに自分らしくなり、自分なりの幸せを見つける近道になることも、本書で強く指摘されている。
コロナ禍で、悩みを聞いてもらうために友達や家族と会うこともままならない今、不安や悩みを一人で抱えている人は多いかもしれない。
もしも自分の悩みに対する1つの「正しい答え」がすぐに欲しいのであれば、本書は望むような内容ではないだろう。
だが大切なのは、自分がぼんやり考えたり、モヤモヤと悩んだりしていることを言語化するヒントや、自分が納得のいく解答だ。なぜならその悩みは「解決しなければならないもの」でないかもしれないのだから。
『悩み方教室――
心のモヤモヤが晴れる8つの質問』
河田真誠 著
CCCメディアハウス
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