バブルを生きた元証券ウーマンが振り返る日経平均の30年、そしてこれからの「3万円台の世界」
ソニーと歩んだ30年。その天国と地獄
バブルとその崩壊を経て、数々のショックや震災も乗り越えて、多くの"盟友"が姿を消していく中でも、変わらずに日経平均株価に採用されている銘柄、それがソニー<6758>です(2021年4月1日の社名変更により「ソニーグループ」に)。筆者がこの30年間ずっと持ち持ち続けている銘柄でもあります。
そんなソニーがたどった30年の変遷を追ってみましょう。
アメリカのアップル<AAPL>の創業者であるスティーブ・ジョブズが憧れていたという逸話でも有名なソニー。創業者の盛田昭夫氏はアメリカの有名ニュース雑誌「TIME」の表紙を飾ったこともあり、30年前の同社は「世界のソニー」として飛ぶ鳥を落とす勢いでした。
1989年にアメリカのコロンビア・ピクチャーズを買収、1994年に「プレイステーション」を発売、1997年にはパソコンの「VAIO」が大ヒット。
筆者は、そんな憧れのソニー株を株価5,000円で手に入れました(5,000円は分割修正後の株価。同社は2000年3月末に1:2の株式分割を実施しており、分割前の実際の購入価格は10,000円。本記事ではすべて分割修正後の数字で表記しています)。
2000年のITバブルではハイテク株の代表として株価は16,950円をつけ、3倍になったと大喜び。
しかしながら、2003年4月の決算で2004年度の見通しが大幅減益であると判明、いわゆる「ソニーショック」が起こり、株価は2,500円まで暴落します(筆者の損益はマイナス50%)。
2008年9月にはリーマンショックが起こり、ヒット作もないまま、2012年には株価は700円台へ......。売るに売れない地獄の塩漬け状態が続きました。
ところが、2010年頃からのスマホブームや2013年の「プレイステーション4」の大ヒットで、ソニーはゲーム&スマホの勝ち組となります。現在はゲーム・映画・音楽といったコンテンツメーカーとして再評価され、株価は1万円台を回復。さらに上場来高値の16,950円を目指して爆進中です。
ソニー株で株式投資の天国と地獄を味わった筆者ですが、日経平均株価の構成銘柄ひとつを取り上げても、これだけの浮き沈みがあるのです。30年の間には新しく加わった企業、去った企業、それぞれにドラマがあるのだと思うと、まさに万感胸に迫るといった心境です。
短命だった日経平均株価3万円
さて、1988年12月に初めて3万円台に突入した日経平均株価は、1989年は一年を通して上昇を続け、12月に38,915円87銭という史上最高値で大納会を迎えます。
明けて1990年、年初恒例の相場予想では「日経平均株価は年末に44,000円前後」が大方の見方でした。
ところが、いざ蓋を開けてみれば円相場の急落で大発会から日銀が介入、日経平均株価も大幅に反落する事態となり、波乱の幕開けとなります。