バブルを生きた元証券ウーマンが振り返る日経平均の30年、そしてこれからの「3万円台の世界」
その後も弱い展開が続き、わが証券会社の営業部では拍手の代わりに「カネ取ってこい!」という怒号とともに灰皿が飛び交うようになります。
そして、1990年8月のイラク軍によるクウェート侵攻を受けて、日経平均株価はついに3万円台から陥落。滞在期間わずか1年8か月。急ピッチで始まり、急ピッチで終わった3万円台でした。
ただ、そこから再び3万円という大台に戻ってくるまでには、実に30年という長い時間を要したのです。
日経平均株価が描く新たな世界に期待
この30年の間に起こったことは、暗いことばかりではありません。バブル崩壊を機に持ち合い株構造は解消され、日本株を保有する海外の機関投資家の比率は1990年代の5%から約30%に増えました。つまり、グローバル経済が反映されやすい状況に変化したのです。
また、コロナ禍によって、組織から個の時代に相応しい新しいサービス・商品を提供する企業が加速度的に業績を伸ばしているのも頼もしいところです。
個人投資家の投資環境もITの普及で大きく変わり、営業マンに頼らなくても自分の判断で取引ができるようになりました。
足元では、2021年3月に日銀がETF購入の方針を変更したことで、日経平均株価は激しい値動きとなっていますが、「金融相場」から「業績相場」への過渡期が過ぎ、景気回復の動きも鮮明となれば、再び3万円台へと向かうでしょう。
そこでは、30年前とは違う「3万円台の世界」があるはず。一体どんな展開を見せてくれるのか、30年前を経験しているひとりとして大いなる期待を胸に抱きつつ、今からしっかりと準備しておこうと思うのです。
2021/04/15
[執筆者]
岡田禎子(おかだ・さちこ)
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP) 【株窓アワード2020】