30万部ベストセラーの教授が説く「毎日1%向上する人になれ」
写真は本文と関係ありません recep-bg-iStock.
<私たちは皆、自分の人生に責任があり、自分たちで思っているよりも多くの選択肢を持っている――。スタンフォード大学のティナ・シーリグ教授が今年、10年前の著書『20歳のときに知っておきたかったこと』を大幅にアップデートした。いま私たちはどう生きるべきなのか>
2010年3月に日本で刊行された『20歳のときに知っておきたかったこと』(高遠裕子・訳、三ツ松新・解説、CCCメディアハウス)という本がある。スタンフォード大学の起業家育成のエキスパート、ティナ・シーリグ教授が「人生を変える方法」を指南した同書は、日本だけで30万部を売り、世界各国でベストセラーとなった。
あれから10年が経った今年、同書を大幅にアップデートした『新版 20歳のときに知っておきたかったこと――スタンフォード大学集中講義』が刊行された。
この10年におけるネットやデバイスの目覚ましい進化によって、ビジネスや文化、学習方法は大きく変わった。さらに新型コロナウイルスの脅威がもたらした生活や働き方の変化は、今後ますます広がっていくだろう。
誰にとっても大きなターニングポイントになったであろう2020年、なぜ『20歳のときに知っておきたかったこと』をアップデートしたのか。いま起こり、これからも起こっていく変化に、どう対応していけばいいのか。
そして、いま私たちはどう生きるべきなのか。
著者のティナ・シーリグに聞いた。
――『20歳のときに知っておきたかったこと』はアメリカだけでなく、日本でもロングセラーとなり、大人気です。
私自身、この本の反響に驚きつつも、とても嬉しく思っています。この10年間、本書から有意義なメッセージやストーリーを見つけたという話を何千人もの読者たちから聞いてきました。
本書の包括的なテーマは、読者自身に、独自の道を世界で作ることができるという自信を与えることです。つまり、自分で立てた仮説に挑戦し、実験しては失敗し、自分で道(コース)を計画して、自分の能力の限界に挑むことへの許可を自分に与えるのです。
本書を読むことでこれらのアイデアを内面化し、自分にもできると知ることになります。
――今回の新版で新しい2つの章を追加されましたが、その意図や目的について聞かせてください。
10年前に書いた本を改めて振り返り、アップデートできたことはとても光栄です。新規の2章では、最近、私自身が考えるのに多くの時間を費やしているテーマ、つまりリスクを取ること(リスクテイク)と運について取り上げています。
旧版でもこのテーマに触れましたが、それほど深くは掘り下げませんでした。追加した章は2018年に私がTEDで行った講演に基づいており、小さなリスクを取ることで運がどう向上するかについて説明しています。
TED講演の準備段階で、このテーマ(リスクテイクと運)に向き合った結果、私たちの生活のあらゆる面において、これらが成功のためにいかに決定的に重要であるかが分かったのです。このテーマについての新しい本を書くのではなく、本書の新版に入れることにしました。