誰でも今すぐ「頭がよい人」になれる、「往復運動」の能力を鍛えれば
「頭が悪い」人の思考は1方向だけになりがち
谷川氏も指摘しているように、「思考」に関する書籍では、「抽象化」の重要性が語られていることが多い。「抽象化」は、その言葉からして抽象的で捉えがたく、苦手意識をもつ人も多いからだろう。いわゆる「考えていない人」というのは、物事を抽象化する能力が不足している場合も多い。
だが、谷川氏は強調する。大切なのは、具体化と抽象化を往復することである。1方向であってはいけないのだ。
思考は、抽象化だけでは完結しない。具体化されて初めて価値が世界に現れる。抽象的な難しいことだけ語っている人は、具体的なことしか興味がない人と同じくらい「頭が悪い」。(『賢さをつくる――頭はよくなる。よくなりたければ。』250ページより)
本書が画期的なのは、思考を具体化と抽象化の2方向ですべて説明したことだ。ほんの少し意識して、普段とは逆方向の意見を言ってみるだけでも、「意外と頭いいな」と一目置かれるようになるかもしれない。頭がよくなりたければ、試してみる価値はあるだろう。
『賢さをつくる――頭はよくなる。よくなりたければ。』
谷川祐基 著
CCCメディアハウス
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