最新記事

プレゼンテーション

プレゼンでスティーブ・ジョブズから学ぶべきでない3つのこと

2019年10月11日(金)14時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

製品発表会でプレゼンテーションをするスティーブ・ジョブズ(2008年) Robert Galbraith-REUTERS

<スティーブ・ジョブズのプレゼンはあまりに有名だが、そのやり方は誰もが手本にできるものではない。ジョブズを真似るべきでない点について、米ノースウェスタン大学のティム・カルキンス教授が解説する>

米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のティム・カルキンス教授が、専門のマーケティング戦略ではなく、プレゼンの本を書いてアメリカでベストセラーとなっている。優秀な教え子たちがプレゼンで失敗していることを憂いたのが執筆の動機だったという。

カルキンス教授が8歳で行った初めてのプレゼン「ニワトリをどう洗うか?」(このプレゼンの顛末については、抜粋の第1回を参照)から始まる本書は、相手(聞き手)の見定め方からストーリー・構成、データの使い方、そもそもプレゼンをする必要があるのか否かということまで、プレゼンを成功させるためのコツを詳しく解説したもの。

その邦訳『ニワトリをどう洗うか? 実践・最強のプレゼンテーション理論』(CCCメディアハウス)から、ここでは「スティーブ・ジョブズから学ぶべきでないこと」を抜粋する。

※第1回:名門MBAケロッグの名物教授、初めてのプレゼンは「ニワトリの洗い方」だった
※第2回:
プレゼンは緊張したほうがいい、人前で話すのに恐怖を感じるのは当然だ

◇ ◇ ◇

プレゼンを前にして、スティーブ・ジョブズのやり方を真似ようという気持ちになるかもしれない。「スティーブ・ジョブズがこうやっていたのだから、自分もこれでうまくいくはずだ」と。残念ながら、ジョブズのやり方は誰もが手本にできるものではない。一般的に、ジョブズを真似るべきでない点がいくつかある。

情報の一部を伏せておく

スティーブ・ジョブズは、情報の一部を最後まで出さないことも大きな特徴だった。新たなイノベーションについて説明しつつ、特に魅力的な新製品の発表を最後に残しておくことも少なくなかった。最後の最後になって「でも、もう一つあります」というわけだ。これで人々は話に引き込まれる。

あなたもプレゼンで、一番重要な情報を最後まで取っておこうと考えるかもしれない。プレゼンを締めくくる段階になって「それに、あともう一つだけあります」と言うようなやり方だ。これは禁物だ。

第一の問題点として、会議が終わる前に退席する人もいるかもしれない。現実問題として、誰もが多忙なスケジュールの中で時間をやりくりしている。その結果、ほぼ必ず終了前に席を立つ人が出てくる。

それも特に上級の幹部がそうなりやすい。つまり、プレゼンのターゲットになる人たちが特に多忙で、時間前に退席することになりやすい。大事な情報を最後まで取っておくと、最も重要な相手の耳にそれが入らないという結果になりかねない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

全米鉄鋼労組、日鉄のUSスチール買収に断固反対 財

ビジネス

FRBの独立性、経済成果に「不可欠」=ミネアポリス

ビジネス

米中の現状、持続可能でない 貿易交渉の「長期戦」想

ワールド

プーチン氏、現在の前線でウクライナ侵攻停止を提案=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 2
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 3
    パウエルFRB議長解任までやったとしてもトランプの「利下げ」は悪手で逆効果
  • 4
    日本の人口減少「衝撃の実態」...データは何を語る?
  • 5
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 6
    コロナ「武漢研究所説」強調する米政府の新サイト立…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    なぜ世界中の人が「日本アニメ」にハマるのか?...鬼…
  • 9
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 10
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中