最新記事

プレゼンテーション

プレゼンでスティーブ・ジョブズから学ぶべきでない3つのこと

2019年10月11日(金)14時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

プレゼンには常に目的があるという点を忘れないでほしい。相手に情報を伝え、対話をして納得してもらう必要があるのだ。あなたが情報を伝えきる前に相手が出て行ってしまったら、もう成功の目は消えてしまう。つまり失敗に終わったということだ。

重要な情報を最後まで取っておくことの第二の問題点は、その事柄について議論ができなくなってしまうことだ。会議の時間が午前9~10時であるとして、9時55分になってから決め手の情報を繰り出したのでは、それについて議論する時間はもう残っていない。これも大問題だ。

第三の問題点は、時間の管理上の問題だ。会議で最も重要な部分はプレゼンではなく議論だ。出席者が質問をして問題点を提起し、討論する。質問をした人に、別の人が質問をぶつけるかもしれない。このような議論は欠かせない。会議の出席者全員で問題について考えることにつながるからだ。

こうした議論が最後に始まった場合、単純に時間を管理できなくなってしまう。自分より地位の高い人が意見を言うのをさえぎることはできない。たとえば、ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長に対してプレゼンをしているときに、「リチャード、面白い質問だと思いますが、今はもう時間がありません。会議の終了時間は守らなければなりませんので」などとは言えないはずだ。会議の時間が大幅に延びてしまい、困ったことになるかもしれない。

劇的な効果を見込んでプレゼンの最後に重要な情報を取っておくことは、失敗に終わる可能性が高い。それまでの説明に予定より時間がかかり、スライドの最後の2、3ページを駆け足で済まさなければならなくなるかもしれない。そして、もうプレゼンは終わりだと思って出席者が帰り支度やメールのチェックを始めたときに、大事な情報を伝えるという形になってしまう。これは正しいやり方ではない。

データを示さない

スティーブ・ジョブズのプレゼンの特徴の一つは、データや分析、計算が少ないことだった。スライドの1ページに1語しか書かれていないことさえあった。次のページは写真だけ、その次はイメージ図だけという展開もあった。このようなやり方が、インパクトの強いプレゼンを生み出していた。シンプルでエレガントだった。

私のアドバイスは単純だ──これは真似してはいけない。その最大の理由は、あなたはスティーブ・ジョブズではなく、ジョブズのようになれるわけでもないからだ。ジョブズが一つの言葉を示し、それについて語る。すると人々はそれに耳を傾け、彼の言うことを受け入れた。驚くべき力量だった。しかし、ビジネスのプレゼンではほとんどの場合、このやり方はうまくいかない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

三井住友FG、印イエス銀株の取得を完了 持分24.

ビジネス

ドイツ銀、2026年の金価格予想を4000ドルに引

ワールド

習国家主席のAPEC出席を協議へ、韓国外相が訪中

ワールド

世界貿易、AI導入で40%近く増加も 格差拡大のリ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中