最新記事

プレゼンテーション

プレゼンでスティーブ・ジョブズから学ぶべきでない3つのこと

2019年10月11日(金)14時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

社長に対するプレゼンで1ページに1語だけというスライドを見せたとしたら、会議の出席者を戸惑わせるだけの結果になる可能性が高い。これは失敗の方程式だ。

会社には組織上の階層がある。重要な存在である人たちと、重要性の低い人たちがいる。ほとんどの場合、プレゼンは後者が前者に提案を示す形になる。下の立場にある人がスライドの1ページに「投資」とだけ示して、上の立場にある人に話を聞いてもらうことは期待できない。経営幹部が知りたいのは、なぜ投資が必要なのかという根拠なのだ。

上の立場にある人たちに提案を受け入れてもらうには、データや情報が必要だ。つまり裏付けになる数字や事実だ。タイミングや価格設定、見込まれる利益も示す必要がある。1つの言葉や写真だけのスライドを見せるのは不適切なやり方だ。

経過報告をしない

スティーブ・ジョブズのまさに際立った特徴の一つは、秘密を守り通す能力だった。製品やプロジェクトについて、完璧になるまで絶対に明かそうとしなかった。それまでの間、ジョブズは開発チームに完全な箝口令を敷いた。

ジョブズは、このやり方で結果を出した。手の内を明かさないことで「驚き」を生むことができたのだ。さらに重要な点として、競合他社に対してリードを保つことができた。新製品について公表すれば、すぐに他社も動き出すことになる。手の内を明かさないことが決定的に重要であることを、ジョブズは知っていた。

このやり方は自分のプレゼンにも使える、と思うかもしれない。プロジェクトや取り組みについて進捗状況の報告は最低限にとどめておき、最後にあっと驚かせるというやり方だ。

ここでも、私のアドバイスは「ジョブズを真似するべからず」だ。

会社内ではコミュニケーションが必須だ。社内で何がどう進んでいるのか、関係者全員が知っていなければならない。コミュニケーションの不足は、経営幹部と他部門の関係者の両方に問題を引き起こす。

上級の管理責任者たちは、何がどのように進んでいるのかを知る必要がある。そうした人たちに情報を伝えないわけにはいかない。プロジェクトが順調に進んでいるのなら、そのことを知らせるべきだ。自分が重要な決定を下そうとする際には、それについて説明する必要がある。 

上司に対して情報を伏せるのは、問題を引き起こす最大の早道だ。同僚も進捗状況を知る必要がある。それを知らせなければ、同僚をいら立たせるだけでなく、助力が得られないことにもなってしまう。

※第1回:名門MBAケロッグの名物教授、初めてのプレゼンは「ニワトリの洗い方」だった
※第2回:プレゼンは緊張したほうがいい、人前で話すのに恐怖を感じるのは当然だ


ニワトリをどう洗うか? 実践・最強のプレゼンテーション理論
ティム・カルキンス 著
斉藤裕一 訳
CCCメディアハウス

ニューズウィーク日本版 高市vs中国
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月27号(1月20日発売)は「高市vs中国」特集。台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

労働市場巡る「著しいリスク」、利下げ主張の理由=ウ

ビジネス

米12月PPI、前年比3.0%上昇 関税転嫁で予想

ビジネス

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏指名 上院

ワールド

ロシア、米大統領の空爆停止要請受け入れ 次回3者協
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 6
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 7
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 8
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 9
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中