サウジでテスラ販売開始も、充電施設不足に直面
航続距離巡る不安
マスク氏はサウジ市場に力を入れる可能性がある。
テスラは1─3月販売台数が前年同期比13%減と過去3年近くで最低の業績に沈み、マスク氏の政治活動に対する反発に起因する各地の不買運動、競争激化、人気の「モデルY」刷新の遅れといったさまざまな逆風に見舞われているからだ。
もっともマスク氏がPIFとの関係を修復した後でも、サウジでやるべきことはなお多い。いち早く昨年5月にショールームを開業したライバルの中国BYD(比亜迪)と比べても出遅れ感が漂う。
幸いサウジではテスラの不買運動が起こりそうにはないが、充電施設の少なさという問題に加えて、最高気温が摂氏50度に達する日もあるサウジの暑さはEV電池の消耗を早めてしまう。
昨年時点でサウジの充電施設は101カ所と、人口が3分の1に過ぎないアラブ首長国連邦(UAE)の261カ所に及ばない。しかもサウジの充電施設は大半が主要都市に集中しており、例えば首都リヤドとイスラム教の聖地メッカを結ぶ全長900キロの高速道路上には1つも存在しない。つまり運転手は砂漠の高速道路を長時間走行しなければならないという困難を味わう。
サウジのBYDゼネラルマネジャー、カルロス・モンテネグロ氏は「充電施設は、唯一でなくとも主要な懸念要素の1つになると思う」と述べ、サウジの運転手の走行距離は毎年、他の市場よりもずっと長いと付け加えた。