最新記事
相続

【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?

2025年2月5日(水)17時31分
橘慶太(税理士)*DIAMOND Onlineからの転載

税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?

本日は「相続と税務署」についてお話をします。年末年始、相続について家族で話し合う際、ぜひ参考にしてください。

税務調査で最も問題になるのは名義預金です。名義預金とは、真実の所有者と名義人が異なる預金を指します。


相続税は、財産の名義は関係なく、真実の所有者がその財産を所有しているものとして課されます。

税務調査では、亡くなった方の配偶者や子、孫名義の財産のうち、実質的に亡くなった方の財産(名義財産)がないかどうかを徹底的にチェックするのです(名義預金は名義財産の1つ)。

そして名義財産と認定されたものは故人の遺産と合算して相続税を支払うように迫られるのです。

名義預金判定のポイントは2つあります。

①「あげた、もらったの約束がきちんとできていたか」、

②「もらった人が、自分で自由にそのお金を使うことができたか」の2つです。

さて、税務調査に選ばれると、亡くなった方の通帳だけでなく、相続人の通帳もチェックされます。

そこで、調査官が「この相続人の通帳、名義預金なんじゃないか?」と疑いの目を向ける通帳には、みな同じ特徴があります。その特徴は何でしょうか?

答えは、入金しかない通帳です。

通帳には、お引き出し欄とお預かり欄の2つの欄がありますよね。そのうち、入金(お預かり)しかなく、出金(お引き出し)がない通帳を発見すると、調査官はこう質問してきます。

こう答えたら、一発アウト!

「この通帳のお金、全然使った形跡がありませんが、使わなかった理由はありますか?」

この質問に対して、「使う必要がなかったので貯金していただけです」と答えるのであれば問題ありません。

しかし「この通帳は、私ではなく父が管理していたので、使うことはできなかったんですよ」と答えたら、一発で名義預金と認定されます。調査官は「使わなかった」ではなく、「使えなかった」のではないかと疑っているのです。

そのため、出金の形跡の無い通帳には疑いの目が向けられます。裏を返せば、贈与されたお金を、もらった人が実際に自由に使っていた記録があるなら、名義預金と認定される可能性は限りなく0に近づきます。

通帳、印鑑、キャッシュカードを本人に管理させ、その通帳のお金を実際に使っていくことが、最も盤石な税務調査対策です。

また、普段から生活費として引き出しをしている通帳に、贈与のお金を振り込んであげるのも、非常に良い対策になりますね。

年末年始が近づいてきました。親族で顔を合わせる機会がある人も多いかと思います。相続や贈与のことで家族と話し合う際、ぜひ参考にしてください。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』の一部抜粋・追加編集を行ったものです)

newsweekjp20250204105741-07296e75769b6c785a2a162457bc4e8ccd07abb8.jpg橘慶太『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』(ダイヤモンド社)(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


※当記事は「DIAMOND online」からの転載記事です。元記事はこちら
newsweekjp20241210070726-0536f5d9a0b841fadc7a37a3ae2182051cf62ee9.jpg





20250211issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月11日号(2月4日発売)は「中国経済ピークアウト」特集。人類史上かつてない人口減で「アメリカ超え」に赤信号 [PLUS] DeepSeekの実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

「ガザ所有」のトランプ発言、国際社会が反発 中東の

ビジネス

EU、Temu・SHEINに販売責任 安価で危険な

ビジネス

独プラント・設備受注、昨年8%減 2年連続のマイナ

ビジネス

日産、ホンダとの統合協議を白紙に 取締役会が方針確
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 2
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 5
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 6
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 7
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 9
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中