中国経済の後退を止めるには、信頼回復という構造改革が必要だ
CHINA’S ECONOMY IN 2025
潘も藍も、刺激策をさらに準備していることを示唆している。早い周期で経済情勢を測るハイフリークエンシー経済指標の動きを見ると、政府の措置はほぼ即座に効果を発揮したようだ。
10月の社会融資総量(実体経済への融資総額)は前年同月比7.8%増、銀行融資残高は同7.7%増。小売売上高は前年同月比4.8%増、前月比1.6ポイント増となった。同じ10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、好調・不調の境目である50を6カ月ぶりに上回って50.1に達し、11月には50.3に上昇した。
しかし、2025年の見通しはそれほど明確ではない。中国が2025年にGDP成長率5%を達成するには、3つの重要な課題を克服しなくてはならない。まず、GDP成長率の約20%と家計資産の約70%を占める不動産セクターの安定化だ。
第2の課題は、地方自治体の財務状況だ。このところ地方は財政難のため、公務員の給与削減などで支出を削減したり、法人税の未納分を徴収したりして収入を確保しようとしている。根本的な問題は、債務が収入を上回っていることだ。中央政府は、早急に多額の一般歳入を地方に移転しなければならない。
第3の課題は、トランプ次期米大統領が中国からの全輸入品に60%の関税を課すと公約していることだ。
対米輸出は中国のGDPの3%を占めているため、重い関税は25年の経済成長に重大な影響を及ぼすだろう。例えばUBSインベストメント・バンクは、2025年の中国のGDP成長率は4%まで鈍化すると予測している。
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