最新記事
BOOK

結局「ポピュリズム」とは何なのか...世界中が「極端な政党」に熱狂する理由

2024年11月20日(水)17時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
英サンダーランドの極右暴動で燃やされた車

英サンダーランドでは極右主義者による暴動が起きた(2024年8月2日) TheBearded_Skot-shutterstock

<近年、特に西欧で右派ポピュリズム政党が支持を集めているが、これもまた「民主主義のあるべき姿」の1つなのか──>

2024年6月の欧州議会選挙では右派ポピュリズム政党が大躍進。世界中で反グローバル・反移民の流れが加速する背景には何があるのか。

外務省時代から今まで世界97カ国でさまざまな国の人とビジネスや交流を行ってきた山中俊之氏が、世界の “政党” を切り口に解説する『教養としての世界の政党』 (かんき出版)より、一部を抜粋・紹介する(本記事は第3回)。

※第1回:なぜプーチンは長期政権を維持できるのか...意外にも、ロシア国内で人気が落ちない「3つの理由」
※第2回:習近平は「総書記」と「国家主席」どちらが正しいのか?...中国政治システムの「本音と建前」に迫る

人は曖昧な状態に長く耐えられない

経済不振で混沌とした世の中では、極端な政党が誕生しがちです。なぜなら、極端なことは「わかりやすいから」「人々の不満を吸収しやすいから」。これは現在、世界で吹き荒れているポピュリズム(大衆迎合)とも密接に関係します。ポピュリズムについては後述します。

たとえば、くつろいでいる午後8時、夕飯中にいきなり停電したとします。延々と暗いまま、ネットもテレビも繋がらず、電話回線もアウト。何ひとつ情報もなかったらどうでしょう?


「ダメージ+先行き不透明」という状況は、パニックが起こりかねないほど、人を不安にさせます。曖昧な状態に長く耐えられるタフな精神力の持ち主は、そう多くありません。

逆にいうと、たとえ悪い知らせであっても現状がわかればホッとします。スマホに「大きな地震を感知したため、安全状況を確認しております」と自治体から通知が来たら、とりあえず落ち着けるのです。

仮想敵をつくり出し、大衆にアピールする

極端な主張をする政党の中には、白か黒かに単純化したわかりやすい主張を大声で述べ、仮想敵を「悪いのは○○だ!」とつくり出し、自分たちの権利を守ろうとするケースも珍しくない......。すると、大衆に好かれるポピュリズムの評価が上がります。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イラン核施設への限定的攻撃をなお検討=

ワールド

米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 6
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 9
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 10
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中