オードリー・タンが語る「独学と孤独」 答案を白紙で提出し、14歳で学校を辞めた天才の思考
台湾では、ホームスクーリングでの学習者が年々増えており、2019年には8000人あまりに達した。そのとき、台湾で最も有名かつ早くから独学の道を切り開いていたオードリーは、「独学者がまず克服しなければいけないのは孤独という感情だ」と考えた。
自分の居場所を探していたころ、互いに信頼し合えるコミュニティが一つもなかったとしたら、たとえオードリーであってもあらゆる方面に思考を巡らせることは難しかっただろう。思考は個人の経験の範囲内に限定され、その深さも制限されてしまうからだ。
自分は何の後ろ盾もない孤独な存在だと感じずにすむところに、コミュニティに参加するメリットがある。
競争より共創という考え方
本人が語っているように、14歳で旧来の教育システムを離脱してから、オードリーは大学で聴講するほかに、老舗の茶館「紫藤廬(ツートンルー)」でプログラミングの愛好家たちと定期的に集まったり、プログラミング言語「パール(Perl)」の世界的なコミュニティにオンラインで参加したりしていた。
このコミュニティを通じて、国の垣根を越え、世界各地から集まったプログラミング言語のマニアたちと出会えた。それ以上に重要なのは、共に何かを作り上げる仲間ができたことで、毎朝、目覚めるのが楽しみになったという点だ。毎日、少しでも自分の能力を生かして貢献することができる。