オードリー・タンが語る「独学と孤独」 答案を白紙で提出し、14歳で学校を辞めた天才の思考

2024年11月8日(金)16時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

台湾では、ホームスクーリングでの学習者が年々増えており、2019年には8000人あまりに達した。そのとき、台湾で最も有名かつ早くから独学の道を切り開いていたオードリーは、「独学者がまず克服しなければいけないのは孤独という感情だ」と考えた。

自分の居場所を探していたころ、互いに信頼し合えるコミュニティが一つもなかったとしたら、たとえオードリーであってもあらゆる方面に思考を巡らせることは難しかっただろう。思考は個人の経験の範囲内に限定され、その深さも制限されてしまうからだ。

自分は何の後ろ盾もない孤独な存在だと感じずにすむところに、コミュニティに参加するメリットがある。

競争より共創という考え方

本人が語っているように、14歳で旧来の教育システムを離脱してから、オードリーは大学で聴講するほかに、老舗の茶館「紫藤廬(ツートンルー)」でプログラミングの愛好家たちと定期的に集まったり、プログラミング言語「パール(Perl)」の世界的なコミュニティにオンラインで参加したりしていた。

このコミュニティを通じて、国の垣根を越え、世界各地から集まったプログラミング言語のマニアたちと出会えた。それ以上に重要なのは、共に何かを作り上げる仲間ができたことで、毎朝、目覚めるのが楽しみになったという点だ。毎日、少しでも自分の能力を生かして貢献することができる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、地方隠れ債務対策に10兆元 直接資金は米次期

ワールド

米国民の6割、トランプ政権下の債務増加を予想=世論

ワールド

中国、COP29に丁副首相出席へ 習主席の首脳会議

ワールド

イスラエル、オランダに救助機派遣 ユダヤ人標的「暴
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「トイレにヘビ!」家の便器から現れた侵入者、その真相に驚愕
  • 2
    後ろの女性がやたらと近い...投票の列に並ぶ男性を困惑させた行為の「意外すぎる目的」とは? 動画が話題に
  • 3
    「ダンスする銀河」「宙に浮かぶ魔女の横顔」NASAが今週公開した「不気味で美しい」画像8選
  • 4
    米大統領選挙の「選挙人制度」は世界の笑い者── どう…
  • 5
    アメリカを「脱出」したいアメリカ人の割合が史上最…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはど…
  • 8
    「ハリス大敗は当然の帰結」──米左派のバーニー・サ…
  • 9
    「歌声が聞こえない」...ライブを台無しにする絶叫フ…
  • 10
    トランプはウクライナを見捨てるのか── ゼレンスキー…
  • 1
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウクライナ軍と北朝鮮兵が初交戦
  • 2
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大人気」の動物、フィンランドで撮影に成功
  • 3
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄道計画が迷走中
  • 4
    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…
  • 5
    「ダンスする銀河」「宙に浮かぶ魔女の横顔」NASAが…
  • 6
    「トイレにヘビ!」家の便器から現れた侵入者、その…
  • 7
    脱北者約200人がウクライナ義勇軍に参加を希望 全員…
  • 8
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後…
  • 9
    後ろの女性がやたらと近い...投票の列に並ぶ男性を困…
  • 10
    投票日直前、トランプの選挙集会に異変! 聴衆が激…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 6
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 7
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 8
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 9
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄…
  • 10
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中